大不況下の代金回収--顧客に支払いを促すための対策

文:Christina Salerno(Special to BNET) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2009-07-08 08:00

 顧客に提供した製品やサービスの代金を回収するということは、特に景気の悪い時期には難しい作業となる。しかし、代金を回収できるかどうかによって企業の存続が左右され、その影響は取引会社にまで及ぶこともあるのである。アイダホ州にあるTamarack Resortは、2億7500万ドルにおよぶ債務不履行に陥った結果、2008年2月に破産申請を行い、2009年3月4日付けで営業を停止したが、サプライヤーや契約業者に対する同社の未払い代金は2200万ドルに達していた(関連英文記事)。こういった代金を回収できなかった企業の中には、従業員の解雇に踏み切らざるを得なかったところも多くあったのである。また、フランスのある自動車部品メーカーは最近になって、ミシガン州オーバーンヒルズに本拠を置くChryslerを相手取り、エンジニアリング/リサーチ費用として1億1000万ドルの支払いを求めて提訴している。

 期日までに代金を回収するには、1日6回にもわたって取り立て人に催促の電話を入れてもらうといった手段とは異なる、さまざまな手段が必要となる。本記事では、景気が低迷するなかでも顧客から代金を回収するために有効となる重要な3つの手順を紹介している。

手順1:アメとムチを使う

目標:代金回収の仕組みに賞罰を組み込むことで、顧客に支払いを促す

 まずは「アメ」からである。クライアントが早期に債務を支払う際には、割引を適用するのだ。米国で最も一般的となっている早期支払い割引形態に「2/10 net 30」ルールというものがある。これは、支払い期日が30日後となっている請求に対して、請求日から10日以内に全額(net)を支払うのであれば、その支払い額から2%を割り引くというものである。

 Center for Organizational Energyのプレジデントであり、代金回収を専門とするマネジメントコンサルタントでもあるJim Ullery氏によると、割引を提示することで、そうしない場合には為し得なかったような「巨額の回収が、現在のような経済状況でも可能となる」という。こういった代金回収は、経費節減の機会を熱心に模索している顧客によって可能となる。企業やそのサプライヤー向けに電子支払いサービスを提供しているJ.P. Morganが最近明らかにしたところによると(英文)、経済危機のせいで早期支払い割引を利用する企業が急増しているという。同社の顧客であり、Fortune 500に名を連ねているある電気通信企業は2008年、早期支払い割引を活用することで3000万ドルの経費節減を実現したという。また、同社の別の顧客である医薬品企業も、早期支払い割引により400万ドルを節約したという。

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