手順3:新たな支払い条件で交渉する
目標:顧客と直接交渉する--そして、債権取立業者への依頼は最後の手段と考える
返答のない債務者に対しては、債権取立業者に未払い代金の回収を依頼するか、未回収となっている代金を債権として売却するか、回収不能債権として処理するという対処をすぐに取ってしまいたくなるかもしれない。しかし、オンライン請求サービス会社FreshBooksの創業者であり、最高経営責任者(CEO)でもあるMike McDerment氏は、まず債務者に連絡を取り、支払い計画の立案を提案すべきであると述べている。同氏は「条項のいくつかをより柔軟なものにして交渉する」ことを勧めている。
顧客との対話ではまず、支払いが遅れている理由を尋ねるべきである。現在の経済状況は非常に厳しいものであるため、今まで支払いを滞らせたことのない顧客であったとしても、かつて経験したことのないようなビジネス上の難局に直面している可能性があるのだ。McDerment氏は「彼らが現在置かれている状況を理解しなければならない」と述べている。同氏は「顧客との関係を良好なものに保つ必要がある。困難な時期に力を合わせることができるのであれば、その取引関係は景気停滞が終わりを迎えた後も続くはずである」と述べている。
債務を軽減するという選択肢もある。昨今の経済情勢により、未回収の代金を全額回収することはますます困難になってきているため、債権取立業者に依頼したり、回収不能債権として処理するよりも、返済額の一部免除を提案するという選択肢を採る企業も増加している。あまり話題にはなっていないが、Bank of Americaのような大手クレジットカード会社も、一部の顧客に対して債務の軽減を提案し始めている(関連英文記事)。債務の軽減により、損失が発生することになるものの、債権取立業者を通したり、訴訟を起こすよりも迅速に回収できるようになるのである。またこれにより、それまでは連絡してこなかった顧客も、問題を解決するチャンスと見て飛びついてくるかもしれないのである。
こういった方法で解決できない場合には、最後の手段として債権取立業者に依頼するか、訴訟を起こすことになる。「長く待てば待つほど、回収できる可能性は低くなる」と述べるUllery氏は、支払い期日を過ぎた場合、3カ月以内に債権取立業者に依頼することを勧めている。しかし、注意しておいてほしいことがある。回収のために度を越した行動をとる業者もいるのだ。イリノイ州の検事総長は2009年1月に、債務者に対してありもしない脅迫(債務を支払わなければ子どもを児童福祉施設に収容すると言うなど)をしたとして、債権取立業者を起訴したのである(英文)。これは極端なケースであるものの、依頼する業者がどんなところなのかを知っておくことの重要性が浮き彫りにされた1件である。米連邦取引委員会(FTC)の、Fair Debt Collection Practices Act(債権回収における消費者保護に関する法律)を熟読し、依頼した債権取立業者が法律を遵守していることを確認しておくべきだろう。
肝心なこと
そもそも、問題のありそうな顧客は避ける
支払い実績のない顧客は、実績のある顧客と比べると、支払いが滞る可能性が高い。つまりこういった顧客は、あなたの会社の収益を損なう可能性があるため、あらかじめ排除しておくことが望ましいのだ。このため新規顧客に対しては、少なくとも25%の頭金を支払ってもらうことを検討すべきである。また、長年の顧客であっても、財政難にあることが明らかである場合には同様の対策を検討すべきである。TakeCommandの編集局長であり、ワシントン大学のMichael G. Foster School of Businessにおいて、起業家精神について教鞭を振るっている教授でもあるSusan Schreter氏は、景気が後退している時には特に、「次の注文を取ることにばかり気を取られている企業は、債務を支払うつもりのない会社にとって良いカモになる」と述べている。頭金を要求することで潜在顧客を失うことになっても、代金回収に悩まされるよりましであるはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ