SAPジャパン、環境対応をサポートするサステナビリティ関連ソリューション分野への本格参入を発表

大河原克行 2009年07月15日 15時37分

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 企業の社会的責任として「環境対応」は、もはや避けては通れないものといえる。そして、環境対応を図るためには、ITを活用することが不可欠であることも、企業においては、共通の認識となりつつある。

 例えば、環境対応の基本となる「見える化」を推進する上でも、企業活動における二酸化炭素の排出量を推し量るためには、やはりITは不可欠。また、有害物質の使用規制および抑制をするREACH対応においても、物質ごとに規制基準が異なるため、それをトラッキングするための仕掛けが必要となる。ここにもITが活用される。

 こうした中、SAPジャパンは、同社のサステナビリティ戦略について明らかにした。会見では、「今回の発表は、SAPがこの分野への本格参入を宣誓したもの。千数百社のSAPユーザーが、これらのソリューションを活用して10%ずつCO2を削減できれば、大きな社会貢献となる。こうした大きな目標に挑むもの」と位置づけ、「企業がサステナブルにビジネスを展開する上で、経済的価値、環境保護、社会的責任などを統合的に管理することが求められている。そうした中で、SAPでは、サステナビリティ向上のための自社の運営の改善と、企業のサステナビリティ向上支援ソリューションの提供に取り組んでいる」と説明する。

 SAPジャパンでは、サステナビリティに関する製品ポートフォリオを「サステナビリティパフォーマンス管理」「エネルギー・二酸化炭素管理」「製品安全と製品責任」「サステナブルサプライチェーン」「環境・安全・衛生」「サステナブル人材」「ITインフラストラクチャ」に分類しており、それらに向けた各種ソリューションを提供する体制を確立する。

 サステナビリティパフォーマンス管理では、自社のCO2排出量を見える化するとともに、戦略および目標を立案し、それをモニタリングするための仕組みを、「Sustainability Performance Management」として用意。これを、2009年第4四半期に国内でリリースする予定だという。

脇阪順雄氏 SAPジャパン バイスプレジデント、インダストリー/ソリューション戦略本部長の脇阪順雄氏

 「サステナビリティ戦略マップの提供、サステナビリティKPIの提供、サステナビリティダッシュボードの3つの観点から、管理ソリューションを提供できる」(SAPジャパン、バイスプレジデント インダストリー/ソリューション戦略本部長の脇阪順雄氏)という。

 また、エネルギー・二酸化炭素管理では、買収したオンデマンドソリューションのClear Standardsを活用。「温暖化ガス排出削減とコンプライアンス対応を図れる。また、自社内に留まらず、取引先を含めた管理も可能になる。SaaS型ソリューションとして提供することで、導入しやすい環境としているのも特徴。早いタイミングで国内市場に投入していきたい」とする。

 この領域では、電力会社が各家庭に設置を予定しているスマートメーターのデータを活用したAMIソリューションの提供にも乗り出す考えで、「SAPジャパンが、近い未来に提供できるソリューションのひとつ」とした。

 また、製品安全と製品責任では、SAPユーザーの多くが求めているREACH対応を中心に、製品のトレーサビリティを実現するソリューションが鍵になるとする。

 「サプライヤーや原材料メーカーなどとの連携においても、従来の『品質』『コスト』『デリバリー』という要素に加えて、新たに『環境』の要素が加わってきた。安全かつ規制を遵守した製品の設計、生産、販売には不可欠な要素となっている」(脇阪氏)

 すでに、この分野においては、住友化学が全社規模で、SAPのソリューションを活用しているという。「SAPは、日本の企業ではないために、システムが日本の商習慣に馴染まないと言われることもあるが、今ではドイツの会社だからこそ、REACHのことをよく理解しているのではないかという評価に変わっている」との逸話も披露する。

 一方、環境・安全・衛生では、製造上どうしても使用しなくてはならない有害物質の管理、予防的メンテナンス、事故の報告トラッキングなどのソリューションを提供しており、「もともとSAPは、設備保全においては実績があり、国内の大手航空会社や原子力発電所などでも設備保全ソリューションを導入している」などと実績を強調した。

 SAPジャパンでは、直近の重点領域として、温暖化ガス排出規制・エネルギー管理対応、化学物質管理規制対応(製品安全、製品責任)、スマートグリッド、サステナビリティ・パフォーマンス管理を挙げ、それに向けた販売体制、パートナーとの協業強化を推進していくという。

Rob Schilling氏 SAPジャパン、チーフオペレイティング&コマーシャルオフィサーのRob Schilling氏

 SAPジャパンのチーフオペレイティング&コマーシャルオフィサーであるRob Schilling氏は、「経済的、社会的、環境における、リスクと機会を統合的に管理することで、中長期的な収益性を向上できることが明らかになってきた。また、サステナビリティにコミットしている企業は、金融危機下においても同業他社の株価を15%上回っているという結果がでている。これは、幅広い16の業界で見られているものであり、それらの企業は、短期的な視点ではなく、長期的な施策を持っている企業、組織を横断したリスク管理を行っている企業、サステナビリティソリューションに信念をもって投資している企業であることが多い。そして、この姿勢を社員と共有している企業が成長しており、そのためにはモニタリングをしっかりしていくことが必要だ」などとした。

 SAPジャパンが、サステナビリティ分野に本格参入するのは、企業の環境戦略においても、ITを活用したソリューション提案が求められていることの証だ。SAPが日本において、この事業をどう成長させていくのかが注目されよう。

SAPジャパンにおける、サステナビリティに関する製品ポートフォリオ SAPジャパンにおける、サステナビリティに関する製品ポートフォリオ(画像クリックで拡大表示します)

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