仮想化技術の発達、それに伴うサーバ統合で、ネットワーク接続型ストレージ(NAS)やストレージ専用ネットワーク(SAN)などの外部にあるストレージの利用環境においても、以前よりも複雑な電源管理が求められるようになっている。以前であれば、IT機器1台にUPS1台を設置する場合には、システムを安全に停止させるためには、「サーバ→ストレージ→ネットワーク」の順番で停止(起動時には、逆の手順が必要)を、手動で行う必要があり、管理費や人的ミスが高くなり、企業には大きな負担となっていた。
そうしたNASやSANなどの外部ストレージを活用する複雑なシステムにおいては、中容量のUPSを導入すれば、サーバ、ストレージ、ネットワークで構成される1つのシステムの電源を1台のUPSで管理できるようになると同社は説明している。また、同社が提供するPowerChute Network Shutdownを組み合わせて利用すれば、より安全な電源停止を自動的に行えるようにもなる。こうした考え方を同社は「1システム1UPS」というコンセプトで提唱している。(2)の背景とは、こうした事態を指している。
中容量UPSを拡充する3つめの背景が(3)だ。経済的な理由から効率的な情報システムの運用管理が求められるようになってから、企業が稼働させるサーバはデータセンターへの集約が進んでいるが、そうした状況下では、よりグリーンな環境への向上という視点から効率的な電源利用が要請されるようになっている。
そうした背景があることを踏まえて、APCジャパンは、20〜30kVAという中容量の三相3線入力のSmart-UPS VTを発売する。Smart-UPS VTは、広い負荷範囲(40〜100%)でも93%という電力変換効率を実現すると説明する。また低負荷域(20%以上)でも90%もの変換効率が可能なことから、環境に優しい電源の利用ができると同社では説明している。