3. 運用管理ソフトウェアの今後
大企業や中堅、中小企業の上位企業においては、社内に分散したITリソースをいかに効率的に管理するかが課題となっている。そのための解として期待されているのが仮想化だ。したがって、今後の運用管理ソフトウェアは「仮想化環境のサポート」が大きな差別化要因となってくる。
仮想化環境の促進は必然的に異種ベンダ混在環境を生み出す。これまで別々のサーバで稼働していた異なるシステムが同一の物理サーバに共存することになるからだ。その結果、運用管理ソフトウェアにおいても仮想化環境における相互連携が活発化していくと予想される。実際、日立製作所とマイクロソフトは仮想化環境における運用管理において互いの製品間の連携を進めることを発表している。
また、この「仮想化の必要性」は中堅、中小企業にも当てはまる。
例えば、ジョブ管理において障害が発生した時のために予備のサーバにもジョブ登録をしておくといった場合は、ユーザー自身が個々の物理サーバをきちんと意識しておく必要があった。その結果、冗長性を持った確実なジョブ管理はコストが高く手間のかかるものになってしまっていたのである。
この背後にあるのは「サーバ1台1役」という暗黙の前提だ。仮にサーバ仮想化技術を使わなかったとしても、運用管理ソフトウェア側が複数のサーバを1つのグループとして管理し、ユーザーはそのグループに対してジョブを登録するということができれば、ユーザーの負担は大幅に軽減される。
そうした意味では、「サーバ1台1役」という壁を取り払うことが、今後の運用管理ソフトウェアに求められる重要な役割のひとつといえるだろう。