日本HP、iSCSI用いたSANを発表:低コストを武器に中堅企業からの需要狙う

大川淳 2009年07月23日 21時35分

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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は7月23日、iSCSI接続方式による新たなストレージ製品ラインアップ「HP LeftHand P4000 SAN ソリューション」(HP P4000 SAN)を発表した。主に、中堅規模上位および中小企業向けに販売を展開し、ストレージエリアネットワーク(Storage Area Network:SAN)の導入促進を図る。

 なお、本製品はHPが2008年に買収したストレージおよび仮想化ソフトを扱うLeftHand Networksの技術を活用している。

HP LeftHand P4000 SAN HP LeftHand P4000 SAN

 iSCSIは、ファイバチャネル(Fibre Channel:FC)接続に比べてネットワーク帯域が狭く、大量のデータを扱う場合には処理速度が遅くなり、セキュリティ面でも懸念があるとの印象が強い。そのため、国内のネットワークストレージ市場は現在、FC接続によるSANが中心であり、iSCSI接続のSANの普及率は非常に低い。

富岡徹郎氏 富岡徹郎氏

 しかし一方で、FC接続のSANを導入する際には、高額な新規投資が必要になるとともに、運用管理のために特別な専門知識が求められる。

 これらが障壁となって、中堅および中小規模企業では、その多くがSANの導入に着手できていない状況がある。

 日本HP エンタープライズ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部長 富岡徹郎氏は、「iSCSI接続のSANは、ネットワークの速度に課題があり、これまで広がらなかった。しかし、通信速度10Gbpsのイーサネット規格も登場しており、iSCSIでも十分利用できる時代になった。米国では、iSCSI接続のSANの市場が拡大している」と話す。

 調査会社IDCジャパンでは、日本でのiSCSIによるSANは、2008年から2013年まで、年率53%で売上が伸長とすると予測している。同社も潜在的な成長性に期待しており、「国内では依然、市場が小さいが、今後1年程度でこの市場のリーダーになる」(同)ことを目指す。

新製品は、同社のストレージ体系でエントリと中・上位の中間あたりに位置付けられる(画像をクリックすると拡大します) 新製品は、同社のストレージ体系でエントリと中・上位の中間あたりに位置付けられる(画像をクリックすると拡大します)

 「HP P4000 SAN」が採用しているストレージクラスタリングアーキテクチャは、iSCSIをベースにしたSANソリューション。各ノードを直接iSCSIのSANに接続し、ストレージクラスタを形成する。最小構成は2ノードで、最大32ノード。ノードを増設するごとに帯域性能も2Gbpsずつ増加する。

 こうした特徴から、導入時は小規模で始め、その後は状況に応じて容量と性能を拡張するスケールアウト型となり、コストを抑えることができる。各ノードはネットワークを介した接続であるため、ノード増設はシステムを停止することなくオンラインで実行できる。また、オプションによりノード接続の帯域を通常の1Gbpsから10Gbpsに拡張することも可能だ。

 また、今回の製品は、iSCSI経由でのネットワークRAID(筐体間冗長)機能を備えており、「ひとつのノードで障害が起きたとしてもシステム全体は停止しないため、筐体障害時でもボリュームへのアクセスは継続される。障害発生後、復旧してからも迅速に同期され、障害発生以前の状態にもどる」(同社 ストレージワークスビジネス本部 担当マネージャ 瀧澤一彦氏)という。

 さらに、データが実際に書き込まれる時に必要な領域を割り当てるシンプロビジョニング機能を標準搭載しているため、ストレージボリュームにあらかじめ大きな領域を割り当てる必要がなく、従来のように、導入時にすべてのディスクを購入しなくてもすみ、先行投資を大幅に抑えることが可能だ。

 サーバ仮想化環境にも配慮しており、VMwareに対応したモデルを揃えた。「HP BladeSystem」の各ノードに直接接続されたストレージを「VMware ESX Server」環境向け共有ストレージとして完全に連携させ、ひとつのSANとして管理することができる。これらのノードはクラスター化され、既存のサーバ、ストレージはクラスターストレージシステムになり、VMwareをサポートするひとつのSANとして管理できる。さらに、同期、非同期どちらにも対応可能なリモートコピー機能を標準搭載しており、新たなソフトウェアや機能の追加なしで、障害復旧システムの構築ができるという。

ジョン・スパイアーズ氏 ジョン・スパイアーズ氏

 新製品は基本的に、リモートアクセス用途などを対象とする「HP LeftHand P4500 Multi Site SAN」、大規模な拡張性を求めるユーザー向けの「HP LeftHand P4500 Virtualization SAN」、スモールスタートを望む層に適した「HP LeftHand P4300 SATA Starter SAN」「HP LeftHand P4300 SAS Starter SAN」が用意される。

 また、同社は「HP P4000 SAN」の販売に合わせ、iSCSI対応のエントリー向けディスクバックアップ製品「HP StorageWorks D2D2500 Backup System」シリーズを拡充。容量2TBの「HP StorageWorks D2D2502i Backup System」と、容量4TBの「HP StorageWorks D2D2504i Backup System」を発表した。

 HPでエンタープライズストレージ・サーバ ストレージワークスディビジョン LeftHand Networks エバンジェリストを務めるジョン・スパイアーズ氏は、「企業で使用されるデータの量が爆発的に増加している今、できるだけ低コストでのストレージ増強が求められている」と述べ、iSCSIによるSANはこのような需要に応えるものであることを強調した。

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