NECは7月29日、情報活用ソリューション「Decision Navigator」を発売するとともに、情報管理ソフトウェア「InfoFrame」の製品ラインアップを「InfoFrame 2009」として拡充すると発表した。
NECの執行役員である山元正人氏は、「企業内のデータ量は増大の一途を辿っているが、そのデータを経営に生かし切れているかどうかが、リーマンショック以降の経営者にとっての共通認識。グローバルに販売拠点を持つ製造業では、在庫問題などで苦労をしているのが実状。データ分析の遅延が改善の遅れにつながっているといったこともある。経営改善においては、PDCAのC(チェック)が課題となっている。Decision Navigatorは、こうした課題に対するソリューション」と位置づける。
Decision Navigatorは、戦略の共有を通じて組織全体のパフォーマンスを向上するPM(Performance Management)ソリューションと、蓄積されたデータを加工・分析して、企業の意思決定に活用するBI(Business Intelligence)ソリューションを融合したもの。これにより、迅速かつ継続的な業務プロセス改善を実現できるとする。
「Decision Navigatorは、これまで500社以上にBIを導入した当社の経験をもとに体系化したもの。業務プロセス改善を支援するソリューションをメニュー化した」(山元氏)
Decision Navigator/PMでは、現状プロセスの可視化から事業戦略目標へのブレークダウン、重点課題の解決を指針としたプロセスモデルの策定、また監視ツールの適用まで、プロセス改善に向けた一連のサービスを提供する。
また、Decision Navigator/BIでは、自社で行われている情報分析業務に対するアセスメントや、得られた分析結果を実際の業務へフィードバックするためのコンサルティングを行うほか、情報分析システムの構築を行い、要件定義、システム定義から設計、構築、運用まで一貫したSE支援サービスを提供する。
一方、InfoFrameでは、情報統合ツールとして新たに「InfoFrame Data Quality」を追加。重複データの自動判別や補正処理を行うクレンジング機能と属性が一致するデータを一元化する名寄せ機能を提供し、データの統合基準をあらかじめ設定することで、分析しやすいデータを速やかに収集することができる。
合わせて、高速データエンジン「InfoFrame DataBooster」とデータ統合製品「InfoFrame PowerCenter」の連携を強化。PowerCenterから、DataBoosterのメモリデータベース処理を利用することにより、大量のデータ加工処理が従来と比較して85%以上も短縮でき、業務システムのデータベースから、データウェアハウスを生成するまでの時間が、「日単位」から「時間単位」にまで短縮することが可能になるという。同社の測定では、67分11秒かかっていたデータ加工・統合処理が、9分9秒で終了したという。
さらに、「MicroStrategy 9」を新たなラインアップに追加。これにより、クエリ時間の大幅な短縮を実現できるようになるという。MicroStrategy 9と、NECが従来からサポートしているデータウェアハウスアプライアンスの「Netezza Performance Server」とを組み合わせることで、分析時間では従来比90%以上の短縮が可能になるとする。
DataBoosterの価格は、最小構成となる1コアあたり500万円から、PowerCenterは同じく数千万円からになるとしている。Netezza Performance Serverは、3Tバイト単位で4500万円から。
「InfoFrameは、2007年に体系化するところからスタートし、2008年には現場力の充実と開発力の強化に取り組んできた。2009年は情報とプロセスの見える化の推進、ユーザーニーズに対応した強化・拡充を継続的に提供していく」(山元氏)
NECでは、今回の製品強化により、現在約80人体制の専任コンサルタントおよびシステム構築要員の体制を、3年後には200人強の体制に強化する。2012年度には情報活用領域において、現在30億円程度の年間売上高を、100億円以上に拡大。約70社への導入を図るとしている。
また、同社では、InfoFrameに関するパートナー制度として、InfoFrame WORKSを展開。現在23社がパートナーに加盟しているという。2008年から新たに7社が加盟、3社が加盟を検討しているという。