物流を可視化--グローバル化をSCMで支援:パナソニック電工

宍戸周夫(テラメディア) 2009年07月30日 08時00分

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テーマはグローバル化と在庫削減

 パナソニック電工(旧松下電工)は、もともと戦後にパナソニック(旧松下電器産業)から分離独立した企業。しかし2004年にはパナソニックの完全子会社となり、現在はパナソニックと協調して事業を展開している。主な事業として照明、情報機器、電器、住設建材、電子材料、制御機器がある。

 このうち住設建材事業が売上全体の31.3%(2007年3月期)を占めているが、そのうちの99%が日本国内となっており、大きな成長は見込めない。一方で、海外の売上比率が高いのが、照明事業やデバイス関連の電子材料事業、制御機器事業などだ。いずれも40%程度を海外で売り上げている。国内市場の拡大が期待できない現在、この海外での売り上げをいかに伸ばすかが、同社の今後の成長戦略の最大の課題といってもよい。

 そこで、パナソニック電工が今後の成長戦略のキーワードに据えたのが、「企業活動のグローバル化」だった。販売面ではブラジル、ロシア、インド、中国のいわゆる“BRICs”を中心とする新興市場の拡大、一方製造面では製造拠点のグローバル化を成長戦略のテーマとして上げている。今後成長を続けていくためには、グローバルの需要変動に合わせた安価なモノづくりと日本並みのレベルに合わせた安定供給の実現、さらには海外ロジスティクス機能最適化に取り組む必要性が出てきたということである。

 そうした背景からパナソニック電工は、生産面ではグローバル化戦略を推進するための中核ソリューションとしてサプライチェーン管理システム(SCM)に照準を合わせた。グローバル市場の成長に対応して売り上げを拡大し、グローバルの需要変動に合わせた安価なモノづくりと安定供給を実現するためにはSCMが不可欠という考えである。海外ロジスティクス機能の最適化を図る意味からも、SCMにかける期待は大きかった。

 そこで同社は、2000年頃から古いシステムを入れ替えるという形でSCMの導入を開始している。当時は在庫削減が中心テーマだったが、SCMは永遠のカイゼンであるとの認識から、その後テーマは時代に合わせ多様化している。

 SCM導入当時は、ちょうどインターネットネットの普及期と重なっていた。そこで同社は「グローバルにWeb & Digitalで連携強化」というスローガンをかかげ、ネットで営業とサプライヤーとの関係を密にしようと考えた。営業とサプライヤーがウェブでつながるということで、これがITインフラ変革への大きな潮流となった。

 同時にSCMの当初の中心テーマである在庫削減について、同社の資材調達本部は「余分な在庫は“罪庫”」という言葉で、在庫削減によってスリムで身軽な会社経営を目指すということを宣言している。

国内で先行したSCMへの取り組み

 現在、同社のSCMへの取り組みの状況はどうなっているのだろうか。まず国内のSCMの概要から見てみよう。

 同社は国内SCMの取り組みを、受注、PSI(Production/Procurement、Sale、Inventory)、調達、製造、物流という5つのプロセスでとらえている。もちろんこのSCMの最大の目的は在庫削減だったが、単に在庫といっても家電のように在庫期間の短いもの、一方で住設建材のように在庫期間の長いものなどさまざまで、各事業部門で目標設定が難しい。そこで、この5つのプロセスごとに利益向上につながるようなテーマを設定した。たとえば、受注では引き当て在庫削減で売上向上、PSIでは顧客満足度(CS)向上で売上向上という具合である。

 その取り組みをひとつずつ見てみる。まず、受注のプロセスはどう変わったのか。国内売上比率が圧倒的に高い住設建材などでは実際に顧客が建材を選定することは少なく、ほとんどが工務店やディベロッパーという状況がある。

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