コンビニ業界の覇者セブン-イレブンを支えるITの真髄--災害対策とコスト削減を両立 - (page 2)

大川淳

2009-08-07 16:47

 セブン-イレブン・ジャパンの情報統合の中核には「SNET」と呼ばれるシステムがあり、全国の店舗、共同配送センター、メーカーや卸などから集められるデータを一元管理している。

 セブン-イレブン・ジャパンは2004年に本部を移転した際、情報ネットワークシステムを刷新した。データと音声を扱える統合ネットワークを構築し、基幹系システムを擁する拠点を横浜と大阪に設置した。

 同社の旧ネットワークは、基本データの集配信と問い合わせ業務、FAXは64kbpsのISDN回線を使い、マルチメディアデータは3Mbpsの衛星回線を利用。銀行ATMとマルチコピー機関連は64kbpsのIP専用回線を通じて、店舗とセンターが交信していた。

 新ネットワークでは、光ファイバーを基盤とした1Mbps回線でこれらを統合し、ISDN回線はバックアップやFAXなどの用途に回した。データ処理拠点を相互バックアップできる東西の2カ所に分散したこととあわせ、障害および災害時に対する安全性を高めている。

旧ネットワークはデータの種類や属性によりISDN回線、衛星回線、IP専用回線を使い分けていたが、新ネットワークでは光回線でこれらを一本化した(画像をクリックすると拡大します) 旧ネットワークはデータの種類や属性によりISDN回線、衛星回線、IP専用回線を使い分けていたが、新ネットワークでは光回線でこれらを一本化した(画像をクリックすると拡大します)

 2005年には会計システムも再構築し、およそ2億2000万枚に上っていた伝票と帳票を電子化した。紙からデジタルデータによる保存に変わることで、ウェブを活用して検索、参照可能になったほか、会計数値システムによる自動チェック体制を整えて正確性を確保し、生産性の向上にもつながった。

 こうした取り組みにより、用紙代、紙データの保管コスト、事務処理コストは大きく削減され、本部、店舗、取引先の合計で、年間2億枚以上のペーパーレス化を実現。年間で約14億円のコスト削減を達成したという。

災害時にも事業を継続できる体制を構築せよ

 セブン-イレブン・ジャパンでは1987年から公共料金などの収納代行を開始している。現在は316社ほどの各種料金を扱い、年間の取り扱い件数は約3億854件、金額にして約2兆9500億円に達している。

 さらに、2001年からはセブン銀行を開業、2007年には電子マネー「nanaco」を展開するなど、同社は単なる小売業ではなく、重要な社会インフラを担う企業になったともいえる。

 こうした変化が求めるものは、大規模災害時などの緊急事態への備えだ。

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