人間関係の適切な距離感とは?--田代センセーのメンタルテクニック(27) - (page 2)

田代真人(マイ・カウンセラー)

2009-08-20 08:00

適切な距離感を考える

 よく、初対面なのに妙になれなれしい人っていますよね。逆によそよそしい人もいる。いきなり「タメ口」で話をする人もいれば、いつまでたっても他人行儀の人がいる。タメ口の人は親しみを持ってそのような口のきき方をするのかもしれませんが、距離感をつかめていない人とも言えます。そうなると良好な人間関係を築くために最初から遠回りをしていることになります。

 もちろん、時を経て「出会った時は妙になれなれしかったけど、今では親友です」という間柄になった人もいます。しかしその場合、結果的には良かったのかもしれませんが、第一印象では損をしています。カウンセラーと相談者も最初は初対面です。その初対面の時の印象は重要で、これからの信頼関係を築く時間にも影響します。最初の印象によっては、時間をかけても信頼関係が築けないかもしれません。それでは困ります。自己を主張するのは大切だと思いますが、それは信頼関係を築いてからでも遅くはありません。

 人間関係の適切な距離感をつかむためには、まず「密着」するのではなく、適当な間隔から始めるほうが無難です。人は最初に出会ったとき、目と耳で情報を得ます。つまり、容姿や外見、そして話し方です。外見には、人それぞれの顔や体格のみならず、ファッションも入ります。ファッションは自己主張の最たるものですが、就職面接にジーンズとTシャツでは、信頼関係以前に常識を疑われてしまいますよね。話し方も前述のように重要な要素です。

 となると、初対面の人と会うときに考えるべきことは簡単です。まずファッションですが、奇抜な格好をする理由がなければ、TPOに応じた「常識的」な格好にする。清潔であることは言うまでもありません。話し方については、「適当な間隔」をつかむために最初は敬語から入るほうが無難でしょう。例え相手が年下でも敬語で話をする。そうしてお付き合いをしながら距離が近くなっていけば、自然とタメ口にもなるでしょうし、そうでなければ敬語のままが適切な間隔なのかもしれません。

 このように、人間関係の適切な距離感覚を養うことは社会生活において重要なことです。この感覚に長けていれば、あなたは相手にとっても心地よい人になり、良い関係が築けるはずです。人間関係を築くのにもテクニックが必要です。ヘタに遠回りをしないで人間関係が築ければ、もっとスムーズに過ごせるのではないでしょうか。

 世界的にも有名な東京の満員電車。他人とのリアルな距離感をつかむには良い経験なのかもしれませんが、人間生活においては異常な状態です。日本の人口分布は、実は夏休みの時期が最も適切なのかもしれません。適度な余裕ある空間が適度な余裕ある人間関係を作ります。できることなら、そのような空間で暮らしたいものですね。

田代真人
筆者紹介

田代真人
マイ・カウンセラー 代表取締役。九州大学工学部機械工学科卒業後、朝日新聞社を経て学習研究社へ。ファッション女性誌「ル・クール」編集者の後、主婦向け実用雑誌 「おはよう奥さん」の創刊メンバーとして、主婦の悩みを解決する「悩み相談センター」を開設する。その後ダイヤモンド社へ移籍し、「ダイヤモンド・ブレイク!」「ビットビジネス」など数々の雑誌を編集長として創刊した後、ビジネス開発本部副部長に就任。2006年、これまでの編集経験から「人々の悩みを解決したい」との思いに至り、マイ・カウンセラーを設立。2007年ダイヤモンド社を退社し、メディアプロデュース業のメディア・ナレッジを創業すると共に、マイ・カウンセラーの代表取締役に就任する。
ご意見、ご感想は mc-info@mycounselor.jp まで。

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