デルの方程式は「1×1=円滑コミュニケーション」--「あったらいいな」を実現する企業:デル - (page 2)

遠竹智寿子

2009-08-18 00:00

1×1以外にも潤滑油が

 1×1は、社員同士のダイレクトなやり取りでお互いを知り、フランクな環境の中で関係を深められるため、ビジネスをうまく回すための潤滑油になっていました。このように会社の風通しを良くするカジュアルなイベントが、デルにはほかにもいくつか存在するのです。

WednesdayHappy Wednesdayの様子

 そのひとつは「Happy Wednesday(ハッピーウエンズディ)」と呼ばれるものです。その名前から、水曜日をノー残業デーにでもしているのかと思いきや、社員を労うためのお茶会で、月に1回社内で行われるそうです。

 加島シニアマネージャに伺ったところ、「日頃の社員のハードワークを労うため、夕方にケーキや和菓子を用意して、話をしながら楽しい時間を過ごしてもらうための月1回のイベントです。社内の風通しも良くなります」とのこと。

 Happyp Wednesdayは、川崎本社内でコミュニケーション用に用意されたスペースにて行われているほか、東京の三田、宮崎、大阪のオフィスでも同時刻に開催されるといいます。「結構社員が楽しみにしているようで、和気あいあいと団らんし、ひと時を過ごした後に仕事に戻っていきます」と加島シニアマネージャ。

WednesdayZiddyちゃんも参加したデルのHappy Wednesdayハロウィン版(2007年)

 また、10月31日のハロウィンの日には、社員が皆仮装して出社します。外資系企業ならではの光景ですね。実は、Happy Wednesdayもハロウィンの仮装も、現在の代表取締役社長であるJim Merritt氏が就任した頃に始まりました。何か理由があるのでしょうか。

 「Jimはデルの社会貢献活動にもよく参加していますが、その理由のひとつは、社員や関係者と直接触れ合う機会を大切にしたいためでしょう。Happy Wednesdayも、社員との交流の場を持ちたいという社長自身の希望があったのがきっかけでした」と加島シニアマネージャは言います。

 さらに、「これは会社としてサポートしているものではないのですが……」と前置きをして、加島シニアマネージャが話してくれたのは「褒め会」です。

 「会社の仲間同士で飲み会を行うことがあると思いますが、それを『褒め会』にしてしまうというものです。要するに、お互いのいいところを褒めるというもので、大げさにやるのではなく『やってみるといいよ』といったレベルで勧めています。形はいろいろあると思いますが、私の部内でもお互いのいいところ書き出し、それを壁に貼ってお互いの褒め会をしました。褒め会で自分自身が気づかなかった強みを知ったり、同僚が自分をどう思っているか発見したり、また人と人との関係を高めるためにもいい取り組みではないかと思っています」(加島シニアマネージャ)

企業文化につながった「デルの魂」

 「Soul of Dell(デルの魂)」と呼ばれるデルの企業理念には、その核となる「Customers」(お客様)、「Dell Team」(デルチーム)、「Direct Relationship」(ダイレクトな関係)、「Global Citizenship」(グローバルシチズンシップ)、「Winning」(勝利)が示されています。

 今回の1×1を始めとするデルの社風は、「あらゆる活動において『ダイレクト』であることの価値を信じる」とする理念を社員に向けたものでした。デルは「完全実力主義、成果主義」となっていますが、仕事以外の意欲やスキルなどすべてを含めて正しい評価がなされているからこそ、社員が働く意識や意欲を持続できるのでしょう。

 1×1は、「社員満足度調査」でも毎回かなり良いフィードバックを得ているとのこと。日頃から上司に意見を言いやすい環境や、ダイレクトな関係によるゆがみのないやり取り、またオンとオフの切り替えがあるという自然に培われてきた環境と慣習は、「仕組み」というよりデルならではの「文化」なのだと感じました。

 それでは、今回はこの辺で! あなたの会社のユニークな制度についての情報も、ぜひお寄せくださいね。

「あったらいいな」を実現する企業:ファイル12
社名デル
本社神奈川県川崎市
事業内容パーソナルコンピュータ及び周辺機器の製造および販売、またそれに付帯する事業
設立1989年6月
従業員数1500名(2008年1月)
資本金3億500円
米国本社Dell(テキサス州ラウンドロック市、1984年設立)

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