ストレージコストの削減にも貢献
クラウド時代に求められることはほかにもある。それはストレージのコスト削減だ。企業合併でストレージの量がいきなり倍増することや、コンプライアンス準拠のためにデータの長期間保管が求められるなど、ストレージが必要な状況は増える一方だからだ。
この課題に対するオラクルの答えとして三澤氏は、「Automatic Storage Management(ASM)」「Oracle Advanced Compression」「Information Lifecycle Management(情報ライフサイクル管理、ILM)」の3つを挙げた。
ASMとは、Oracle Databaseの機能として無償で提供されているストレージ管理ツールだ。ディスクグループを定義するだけで物理構造を最適化し、自動的に行われるミラーリングやストライピングでデータベースのパフォーマンスを最適化する。ディスク追加時にもデータのアンロードや統計再取得は不要で、アプリケーションを停止させることなく約30分でディスクが追加可能だという。
Oracle Advanced Compressionは、データを圧縮してデータ量を削減する技術。構造化データはもちろん、文書や画像などの非構造化データも含めすべてのデータを圧縮可能で、平均的な圧縮率は2倍から4倍となる。
ILMは、多くのハードウェアベンダーも提唱しているが、「データベースのILMはデータベースで実現すべき」と三澤氏。同氏はデータベースILMを導入した米国株式市場のNASDAQを例に挙げ、アクセス頻度に基づいて適切なストレージ層にデータを移行するOracle Partitioningを活用し、11システムあったストレージを3階層のストレージに統合した事例を説明した。
このケースでは、「データ圧縮技術も組み合わせて約85%のコスト削減が実現した」と三澤氏。「オラクルは単なるデータベースを提供するだけでなく、データベースインフラストラクチャを一括して提供するベンダーなのだ」と三澤氏はアピールした。