ウェブベースの給与評価システム上ではほとんどが選択肢になっているため、1人あたりの評価時間は10分程度、6人分で1時間程だそうです。
役職と給与は連動しない
Six Members Valuationという評価システムを考案する際には、2005年6月から約9カ月もの期間を費やしたそうです。「国内外の文献を読んだり、上場企業を訪問したりと、これまでの給与制度の調査を徹底的にしましたが、どれもしっくりこない。給与制度は、他の何よりも優先すべきものと考えていたので、妥協せずとことん考え抜いた末、最後の最後に『役職と給与を連動させてはいけない』というひらめきがあった」と言います。
「例えば、役職ごとの給与レンジを用いると、一度昇給して給与が上がると、その後のパフォーマンスによって給与が下がることはありません。これでは、仕事に対しての正当な評価ができない。給与レンジをなくし、一定期間ごとに昇給額のみを評価することで、この問題が解決できるのではないかという答えにたどり着いたんです」と、増永社長は言います。
新給与制度に関しては、社員1人ひとりと面談し、増永社長自身が仕組みと理由を説明して、納得を得てから導入したと言います。このSix Members Valuationシステムによって、以下のような効果も出ています。
- システムによる自動化で集計の手間がなくなった
- 短期間のスパンで評価されるため、やる気が継続する
- 項目ごとの評価点数とメンバーからのコメントを確認しながら評価の低かった点を徹底的に改善することが可能になる
- 1対1の評価ではないため、上司が評価の内容で部下から不平不満をもたれることがない
- 達成数値で評価されることがないために、営業担当は「大口の企業だから」という理由で担当顧客に執着することがなく、仕事の必要性に応じて案件を交換したり、部下に任せたりすることが自然にできる
- 順位付けがないため、ストレスがなくなる
- 人の役に立つことが評価につながるため、協力的になる
- 役職や職種の違いで評価されることがないため、経験の有無などで悩むことなく職務異動が希望できる
興味深いことに、特に異動制度を設けているわけではないのに、営業から人事へ異動するといった社内転職が比較的頻繁にあるそうです。「ノルマや順位付けに一切左右されず、今任された仕事を一生懸命やる。そのことがこのシステムによって徹底できているからだと思います」と増永社長。ライブレボリューションの給与制度の根底にあるのは、「組織のフラット化と、それぞれの社員を信じること。LR HEARTに書かれていることは、人として当たり前のことばかりですが、この価値観を持って一緒に仕事をしたいと思ってくれるメンバーたちだからこそ、その主観を信じ評価を任せることができる」と増永社長は語ります。
ライブレボリューションでは、2007年4月より中途採用を行わず、新卒採用のみの採用方針に転換しました。価値観を記したLR HEARTによって独自の企業文化が形作られる中で、「その職種の経験者」や「技術、ビジネス面で見た優秀な人材」よりも、むしろ同社の「文化」を吸収し、同じ「価値観」を持って、末永く会社の成長に向けて仕事をしてくれる人材が必要だとの思いが、確信に変わったからだそうです。
恐らく、社長の「価値観」をハッキリと示した上での「一緒に理想の企業を作りたい」というメッセージが就職活動する学生たちに響き、その証しがランキングや応募者数に表れているのでしょう。
同社には「完全禁煙主義」、「さん付け、敬語の徹底」といった文化もあり、独自のスタイルを貫こうとする人には、仕事ができるできない以前に、会社の文化が合うか合わないかが求められます。会社の理念や文化はそれぞれですし、どの手法や制度が一番良いということもないでしょう。しかし、自分が属する会社が持つ「価値観」を共有した上で仕事が進められるというのは、どこの会社のどの業務であっても、本来一番大切なことなのだろうと感じました。
「あったらいいな」を実現する企業:ファイル13 | |
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社名 | ライブレボリューション |
本社 | 東京都港区 |
事業内容 | モバイル広告代理店、メルマガ「プレジデントビジョン」発行、就職活動SNS「リクトモ」運営 |
設立 | 2000年 |
従業員数 | 50名 |
資本金 | 2億5494万円 |