IBMが米国時間8月31日、「IBM Smart Business Desktop」サービスを発表した。シンクライアントを利用したコンピュータサービス、仮想化、クラウドを組み合わせ、「業界初のパブリックなデスクトップクラウドサービス」をうたっている。
IBMのGlobal Technology Services部門でバイスプレジデントを務めるJan Jackman氏は次のように述べている。「これまでにも増して現在、企業はデスクトップインフラの導入および管理について、安価で信頼性が高く、効率のよい方法を必要としている。このパブリックなデスクトップクラウドサービスは、コスト削減や柔軟性、拡張性、セキュリティをこれまでにない形で顧客にもたらすべく、作られたものだ」
同サービスは2009年10月から欧州と北米で企業に提供を開始する予定だと、IBMでは述べている。
IBMによると、企業は最低限のハードウェアを用意するだけでこのサービスを利用できるという。「必要なのは、ブラウザとJavaを稼働できるマシンだけで、シンクライアントでもPCでもかまわない。ユーザーは単に、インターネットを通じたセキュアな接続でログオンするだけで済む」とIBMは述べている。
この新デスクトップサービスは、デスクトップ仮想化をめぐる広範な戦略の一環であり、ハードウェアの新規購入という選択肢に取って代わる可能性があると、IBMでは説明している。「Citrix Systems、Desktone、VMware、Wyse Technologyとの技術ならびに事業に関する重要な提携、さらには顧客評価および戦略策定用の自社ツールを用いて、IBMはPCの買い換えにジレンマを抱える顧客の問題解決に向け、支援を行っている」
IBMは6月に、「IBM Smart Business」ブランドのもと、一連のクラウド製品とサービスを発表した。これは当初、クラウド開発と仮想デスクトップを中心としたものだった。開発サービスには、IBMが管理するクラウドで顧客企業がソフトウェアをテストできるベータ版サービスや、類似サービスだが非公開クラウドモデルを用いた「IBM Smart Business Test Cloud」も含まれている。
IBMは3月に、アイルランドのダブリン郊外に同社初のクラウドセンターを開設したという。このクラウドセンターは商用および学術用の利用を想定した施設で、コンピュータ科学や気象学の研究プロジェクトに使用できるという。
クラウドコンピューティングや仮想化がデスクトップに与える意味は、サーバの場合ほど注目されていないが、この分野の可能性を探っている企業はIBMだけではない。4月には、スウェーデンの新興企業Xcerionが、一般ユーザーおよびモバイルワーカー向けの仮想デスクトップ「iCloud」の公開ベータテストを開始した。「Google Docs」などのサービスが採用しているホスティング型アプリケーションのアプローチと違い、iCloudはブラウザで稼働する、フル機能を備えたOSに近いものだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ