日本オラクルは9月7日、ウェブコラボレーション基盤の新バージョンとなる「Oracle WebCenter 11g」を発表した。提供開始は9月8日より。
オラクルでは、データベースと業務アプリケーションを除いた、広範な製品群を「Fusion Middleware」のブランドで展開しているが、WebCenterは「エンタープライズマッシュアップ」を標ぼうする、コラボレーションおよびコミュニケーション(ユーザーインタラクション)をつかさどる製品となる。
エンタープライズでの利用に必要とされるセキュリティをFusion MiddlewareのID管理スキームで確保しつつ、コンテンツ管理機能、Wikiやブログといったソーシャルアプリケーション機能、コンポジットアプリケーション機能、検索機能(Oracle Secure Enterprise Searchなどの検索サーバ製品と連携)といった機能を、ウェブブラウザからアクセス可能なワークスペース上で統合し、生産性の向上に寄与するという。
WebCenter 11gでは、「Spaces」「Services」「Composer」「Framework」と呼ばれる4つのコンポーネントを組み合わせて、ワークスペースの構築を行う。「Spaces」は、企業内個人やグループで利用するワークスペースを構成する機能。将来的に、ユーザー間のつながりやアクティビティの可視化機能などもSpacesの一部として提供される予定としている。
「Services」は、WebCenter上で利用できる100種類以上のコンポーネントやポートレット群を指す。メール機能、メッセンジャー機能といった基本的なコミュニケーションツールに加え、コンテンツへのタグ付け機能(タグクラウド)、リンキング機能、ブログ、Wikiといった、Web 2.0的なツールも標準で提供される。「Composer」は、ユーザーごとのパーソナライゼーションや、エンタープライズ・マッシュアップ機能を提供するモジュール。ユーザーが各自で、アプリケーションやビジネスディレクトリなどのコンテンツを自身のワークスペースに容易に取り込むことができる。
最後の「Framework」は、アプリケーション統合を行うための開発運用基盤である。このモジュールにより、一般的な業務システムのデータや業務フロー、ビジネスプロセスを、ワークスペース上のコンテンツと統合できる。一例として示されたデモでは、東洋ビジネスエンジニアリングの受注管理システム「MCFrame」、ウイングアークテクノロジーズの帳票プラットフォーム「SVF」、インフォファームの見積・与信管理システム「InfoFarm戦略箱」の各パッケージ製品をWebCenter上で連携させ、購買申請から、購買処理、実施分析、予実分析、購買承認の順にプロセスフローを行う様子を実演した。
日本オラクル、Fusion Middlewareビジネス推進本部本部長の安藤秀樹氏は、「単に情報を集約して提示するだけの(旧来の企業情報ポータルのような)システムに投資的な価値はない」とし、セキュアな情報管理の枠組みの中で、コミュニティ機能、ソーシャルアプリケーション、業務アプリケーションを統合可能なWebCenter 11gの優位性を強調し、「(WebCenter 11gは)ポータルの再定義を行うものだ」とした。
Oracle WebCenter Suite 11gの価格は、プロセッサライセンスの場合、1426万6350円/1プロセッサ。製品利用の権利を持つ指名ユーザー数に応じて価格が決まる「Named User Plus」ライセンスの場合、28万5285円より。