AppleのiPhone OS 3.1のアップデートには新たな詐欺サイト警告機能が含まれており、少なくとも理論的には、Mobile Safariで詐欺サイトを訪問すると、ユーザーに警告することになっている。
しかし、アップデートのメカニズムに不備があるため、この機能(デォルトで有効に設定される)の動きが一貫していないと、セキュリティ企業IntegoとZscalerのセキュリティ研究者Michael Sutton氏がテストの結果として述べている。それぞれ投稿された記事ではこれが「うまく機能しない」と言う主旨のことが述べられている。
この機能のテストは次のように実施された。
テストでは、有効なフィッシングサイトのデータをPhishtankから取り出し、SafariおよびMobile Safariでこれらのサイトへの訪問を試みた。その結果、Safariではフィッシングサイトだと検知されるサイトでも、iPhoneのMobile Safariでは警告が発せられなかった。
結果が食い違っているのは、アップデートメカニズムに不備があるためのようで、最後にアップデートしたのがいつなのかを透過的に伝える手段がないためという。さらに、使用中のアンチフィッシングデータベースが古いことを検出する「有効期間」の情報も存在しない。
Integoはさきほど、結果に一貫性がないことについて述べた元の記事に、最新情報を投稿した。
多くの人々がこのテストに参加した。詐欺サイトの警告が表示された人もいれば、警告なしにページが表示できた人もいる。さまざまなネットワーク環境でiPhoneおよびiPod touchで試したが、携帯電話網かWi-Fi経由かに関係なく、わかったことは、詐欺サイトの警告は、機能することもあれば、しないこともあるということだ。これは明らかに、まったく保護されていない場合よりも危険である。保護されていると思っているユーザーは、クリックするリンクへの注意が低下するからだ。
この説明には説得力があるが、さらに考慮すべき問題がある。たとえば、Mobile Safariの詐欺警告機能と、アップデートメカニズムに透過性が不足しているのとは対照的に、「Site Check」という商用のiPhoneアプリケーションは、データベースが最後にアップデートされた時期を透過的に知るのにSafeBrowsing APIを利用している。また、適切な時に手動でデータを取得するオプションもある。詐欺サイト警告機能にも、まさにこの動作を実装するべきだ。
さらに、Macworldでの詐欺サイト警告機能の評価では、Googleサイトにも同様の状況が見られると指摘し、Mobile Safari上でGoogle Mobileのサイトを利用すると、従来のデスクトップ用のGoogleページを表示するGoogle Classic版と比べて、危険なサイトに出くわす確率が高いと書いている。このケースでもやはり、ユーザーはSafeBrowsingの保護の下にある前提でウェブを利用し、リンクをクリックしてしまっているという。
透過的処理とカスタマイズ性は、常に顧客満足を改善することになる。この場合は特に、セキュリティの改善にもなる。