求められる経営のリアルタイム化--経営情報の“鮮度”を保つために何をすべきか - (page 2)

斎藤和宣(ディーバ) 2009年10月07日 08時00分

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 まず、データ加工・処理のプロセスをシンプルにすることを考えなくてはならない。正確さを追い求めれば、いくらでも複雑な加工を加えることもできるが、情報の正確さだけでなく情報の“鮮度”が必要であることからも、プロセスをシンプルに整理することは重要である。シンプルであれば、情報を作る時間を短くできるだけでなく、そのチェック作業も容易になるはずである。

 また、自動化を進めることも、当然ながら有効な手段である。人手を介することは、それだけ時間がかかるだけでなく、誤りのリスクも高まるからである。

 さらに、チェック(分析)をしやすくすることは、データ加工・処理において必須の考慮点である。実際に連結情報を作成する過程で一番時間をかけているのは、人がチェック(分析)作業をしている時間である。そのため、たとえばチェックのためのレポートを容易に作成できるようなツールを採用することも肝心になってくる。

レポーティングでの高速化・効率化

 レポーティングは、それらを利用する人をイメージしながら、利用者まで含めた全体での高速化・効率化を考える必要がある。まず、自分の手は動かさず、見ることを中心にして情報を利用する階層の人々にとっては、いかに見ただけで理解しやすい情報となっているかが、重要になってくる。とはいえ、どれだけ見栄えの良い経営支援システムが提供されていても、実際には活用されていない例も多いはずである。

 一方で、そうした人々を支える企画部のような部門にとっては、分析作業や報告資料作成にあたって、いかにデータが取り出しやすい仕組みとなっているかがポイントになってくるだろう。実は、レポーティングについて考えるのであれば、こうした企画部のような人達の要件を満たし、彼らのニーズに訴えかけられるような仕組みでないといけないはずだ。

 ちなみに、昨今の人財面も含めてグルーバル化の進んでいる企業が増えている状況も考えると、情報利用に際して言語の壁があるのはNGなのだろう。

“使わない”と意味がない

 ところで、どんなに経営情報提供の高速化・効率化が実現できたとしても、そもそも現実問題としていくつかの重要な課題を抱えていると思われる。

 まず、利用されているとしても、そこに表れている事実を正しく理解されているかどうかの問題が考えられる。財務諸表情報を軸とした連結経営情報と、それ以外の業務執行あるいは業務遂行に関する情報との、相互の関連性を踏まえた上での理解ができているかである。

 たとえば、今期の売り上げ見込みが当初よりも落ち込んでいる集計がなされている時に、市場別の情報や、製品別/サービス種類別の構成や、価格・ボリュームの推移、さらには競合の状況なども含めて、トータルで整合した理解ができているかということになる。そうでない場合には、取るべきアクションに結びついていない可能性もあり、グループ情報が有効活用されていないことになってしまう。

 次に、事実を正しく認識し、経営と執行の間での議論がなされ、取るべきアクション(方針)の合意を形成していかなければならないが、現状の理解とアクションの内容が、実際に執行/遂行に携わる社員に正しく伝わっているかという問題がある。加えて、アクションが実際に実行に移されているかがモニターされているかどうか、それぞれが成果につながっているかどうか、そしてそのことが確認されているかどうかも重要なポイントになってくる。

 そして、最後に、こうした課題を抱えたままの状況が続くと、連結経営情報をよりリアルタイムに見られる仕組みができたとしても、ほとんど使われない状況に陥ってしまうのではないだろうか。おそらく、誰が使うのか、そして、その人がどのように使うかが明確に把握できないまま仕組みができあがってしまうと、そのような結果になってしまうのではないだろうか。本当に“使える”経営情報の提供は、常にスピード感を持って効率的に作り出される情報が鮮度を保って提供されて初めて、期待できるのであろう。

筆者紹介

斎藤和宣(SAITO Kazunobu)

株式会社ディーバビジネスソリューションユニット第2クループ長。公認会計士。1968年生まれ。1992年慶應義塾大学経済学部卒。青山監査法人、プライスウォーターハウスコンサルタント(現IBMビジネスコンサルティングサービス)を経て、2002年ディーバへ入社。大企業の連結経営会計にかかわるコンサルティングや、会計システム導入のプロジェクトマネジメントを多数手がけ、現職にいたる。

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