マイクロソフトは、2009年末までに投入する予定の情報共有基盤「Microsoft Exchange Server 2010」の開発方針と機能概要を説明した。
マイクロソフト 業務執行役員 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長の横井伸好氏は、「Wave 14と呼ばれる2010シリーズの投入の第1弾となるのがExchange Server 2010。ユーザーにとっては情報系システムの中核となる製品であり、マイクロソフトにとっても製品戦略上、大変重要な役割を果たすものになる」と位置づけた。
Exchange Server 2010の3つの特徴
Exchange Server 2010の大きく3つの特徴がある。

1つ目は「場所を問わないアクセス」で、受信トレイの負荷管理やボイスメールの強化、効率的なコラボレーションなどを図った。2つ目は「柔軟性と信頼性」で、可用性の向上、運用管理の簡素化、展開の柔軟性などを強化。3つ目は「保護とコンプライアンス」で、電子メールアーカイビングの効率化や高度な検索、コミュニケーションの保護を提供する。
横井氏は「Mac OS X 10.6 Snow Leopardでも標準でExchange Server 2010とのコネクティビティが用意されているほか、対応ブラウザもInternet Explorerだけでなく、FirefoxやSafariにまで広げている。Windows Mobileを搭載したスマートフォン、携帯電話のほかにも、iPhoneなどとの連携も可能になり、数多くのデバイスやプラットフォームを区別することなく、シームレスな利用が可能になる」と語っている。
ディスクI/OはExchange Server 2003に比べて、90%程度削減しており、安価なストレージでもシステムを構築できることで、大幅に柔軟性が高まっていることを示した。また、eDiscovery対応機能により、メール情報の迅速な収集を可能にしているのも大きな特徴だ。
マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 ユニファイドコミュニケーショングループ エグゼクティブプロダクトマネージャーの齋藤義憲氏は、「米国では民事訴訟の際に電子証拠を開示することが連邦民事訴訟規則により義務化されており、米国企業と仕事をしている日本企業にも影響する可能性がある。だが、多くの企業では、どうデータを管理したらいいのかという懸念もある。これを保存、保護、検出、証明という点から管理できるようになる。Exchange Server 2010は、eDiscoveryのキラーアプリケーションといえる」と述べている。
Officeチームと共同開発したExchange Server 2010
今回のExchange Server 2010の開発体制として見逃せないのが、開発スタート時からOffice開発チームと共同で作業を進めた点だ。