Wigle氏は、「ムーアの法則ではコアあたりの整数演算性能の向上や、トランジスタ数増加などに注目が集まっているが、トランジスタごとの消費電力の削減という点でも同様の進化を遂げている。過去30年間では約100万分の1に低減しており、消費電力の削減が高い性能の実現にも直結している」と述べた。
Wigle氏は、同社が2006年に発表したIntel Coreマイクロアーキテクチャ以降、プロセッサの消費電力は大幅に削減されており、20兆テラワット時のエネルギー削減効果は20億ドルを上回ることを示した。また、Intel vProによる運用管理の効率向上や、デスクトップからノートPCへの移行で、エネルギー消費量が大幅に削減されることも示している。
「ICTのエネルギー消費は、約40%近くがクライアントPCによるものだとの認知が広まっており、IT部門においてはデータセンターの効率化だけが環境対策ではないという認知が浸透してきた」(Wigle氏)という。
一方で、Intelは今年3月にIntel Open Energy Initiativeを発足。高度な再生可能エネルギー、インテリジェンスを伴ったスマートグリッドやインテリジェントビルディングなどの観点から、統合および相互の協働を促進する考え。Wigle氏は「スマートエネルギーに関する政策への提言、これらの研究開発への投資拡大、スマートグリッドの標準化における団体でのリーダーシップなどを行う」と述べ、スマートグリッドの領域に積極的に踏み出す姿勢を見せた。
高すぎるCO2削減目標は製造業の流出につながる
一方、Wigle氏は自身が代表を務めるClimate Savers Computing Initiativeに関する取り組み状況についても説明した。
「インドで活動を開始するなど活動地域を拡大したほか、新たな電源管理ワークグループの設置、スポンサー企業とのプログラム運営の開始などが、この1年間の取り組みといえる。今後は2010年を目標に掲げた、コンピュータ全体のCO2排出量を5200万トン削減する取り組みを加速するとともに、メンバー加入の増加、戦略的パートナーシップの拡充などに取り組む」(Wigle氏)
また、鳩山首相が国連演説で掲げた国際公約――2020年までにCO2を1990年比で25%削減――について、Whiteside氏は「各国が自国だけのCO2削減目標を見ているだけではいけない。個別の国が高いCO2削減目標を公約すると、製造業が他国に移行してしまうことになる。国際的なアプローチが必要であり、そのためには合理的な削減目標を立てる必要がある。経済的にも、環境の観点からも、達成可能な目標を打ち出すべきだ」と述べている。