このことはクラウドベースのソリューションを検討している企業にとって、どのような意味があるのか?
デスクトップの生産性スイートを完全に捨て去った企業の数はさほど多くない。それでも多くの企業は、従業員がどこからでも簡単にドキュメントにアクセスでき、スムーズなコラボレーションを可能にする環境を作り出したいと考えている。では、USBメモリを捨て去り、モバイル利用に耐えられる高価なノートPCを購入せずに済むよう、クラウドにドキュメントを置いておけばよいのではないだろうか?
実際のところ、Google AppsとOffice Web Appsのいずれもこういったゴールが見えるところまでは進歩してきている(ただし、Google Appsはフォーマット関連機能を向上させる必要があり、Office Web Appsは使い勝手を向上させる必要がある)。ただし、両者ともゴールインできているわけではない。特にOffice Web Appsは、テクニカルプレビュー版というだけあって、完成度を高める余地が多く残されている。
Microsoftのエコシステムに多大な投資を行ってきた企業にとって、現時点におけるOffice Web Appsは、Office 2007/2008/2010を補完する貴重なアプリケーションとなるはずである。一方、Google Appsは単独で十分利用価値があり、クラウドベースのスプレッドシートから、複数の章で構成され、目次も作成できるようなドキュメントにいたるまでのさまざまなドキュメントを作成することができる。しかし、これほど成熟していても、複雑な作業を行う時のことを考えると、ユーザーはオフィスの生産性スイート(おそらくはOffice 2007以降であるが、OpenOfficeである場合も考えられる)を捨て去ることはできないだろう。
結論
Google AppsとOffice Web Appsが想定しているユーザーはある意味において異なっている。Google Appsは、コラボレーションやチームの共同作業を密に行う必要があり、最終的な成果物がオンライン上で提供されるような場合に力を発揮する。一方、Office Web Appsは、OfficeやSharePoint、ExchangeなどのMicrosoft製品を全社的に使用している企業において、ユーザーがクラウド上のドキュメントに簡単にアクセスできるようにしたいと望んでいる場合に適していると言える。
筆者自身は、どちらが勝者であるかと問われれば、Google Appsを選ぶだろう。Google Appsは数多くの優れた機能を備えており、クラウド上で成果物をゼロから作り上げることを念頭に置いて開発されており、Gmailによるコミュニケーションを軸として、すべてのGoogle製品が統合されているためである。これに対して、Office Web AppsはOffice Live Workspaceの延長線上にある製品になっていると感じられる。しかし、Office Web Appsの出来が、テクニカルプレビューの段階であっても非常に良いという点を考えた場合、Googleの現在の地位は安泰というわけにはいかないだろう。いずれにせよ、テクノロジ分野において最近顕著となっているオープン化という流れに目を向けた場合、コンシューマーや企業、組織が今後、競争の恩恵を手にすることになるのはほぼ確実だろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ