Absoluteのサービスは、コスト削減、効率性向上にも貢献できる
――Computraceは、ただデータ保護という点だけに限定されているサービスなのか?
ComputraceによるPC監視では、たとえばリース期間を明確に把握することも可能だ。また、北米の企業では内部で業務に使用しているはずのPCがどこにあるのかわからなくなって、そのままになっているようなことが少なくなかった。それではソフトの更新やさまざまな維持管理ができない。PCの紛失によるコストというものはけっこう大きくなってしまう。
だが、Computraceを用いれば、常にPCがどこにあるかを特定できるので、このような状況から発生する非効率を抑えることができる。ある企業では、Computraceを導入してから1年で60万ドルの経費節減を果たした例もあるほどだ。
一方、IT部門では自社内でのPC管理体制の改善に利用されている。企業内の業務で使用されるPCには、当然仕事に関係のないアプリケーションをインストールしてはならないわけだが、最近では皆がPCに詳しくなり、こっそりこれらのソフトを使っている。
Computraceでは社内の各PC内に使用不可のアプリケーションがあるかないかの確認が容易かつ正確にできる。経済環境が厳しい状況の下、企業はコスト削減、効率性向上を特に重視しており、Computraceはここでも貢献できるわけだ。
――日本で特によく利用されている携帯電話について、どう考えているか?
携帯端末向けの対応も果たしている。ただ、PC向けのようにBIOSに組み込みというわけにはいかない。
管理はPC向けとほぼ同様のことができる。日本国内でも、この四半期内くらいにモバイル向けサービスを開始する。いまのところはWindows MobileとBlackBerryなどが主だが、ComputraceはMac OSにも対応しており、Appleとの関係も良好。ビジネス向けソリューションでも成長し始めているiPhoneへの対応も検討している。
――今後の見通しは。
ComputraceのエージェントがBIOSに組み込まれているPCは、全世界ですでに1億5000万台出荷されている。サービスのユーザーは台数ベースで累計450万台に達している。当社の2009年6月期の売上高は7500万カナダドル。2010年6月期には8500万カナダドルになる見通しであり、世界同時不況に見舞われているなか、業績は上向きだ。
この好業績にはいくつかの理由があるが、主な点は2つあると考えている。
1つ目は、日本を含め積極的に新規市場に参入していることだ。これまで我々の市場はほとんどが北米で占められていた。2つ目はデータ保護についての企業の懸念が広がっていることだろう。我々のサービスはこのような不安感に対して有効な対策となる。