さらに、「NECグループに不足する顧客基盤や、グローバルデリバリーなどの事業資産を確保するためには、戦略的なアライアンスを積極的に活用する」とも語る。C&Cクラウドによる中期的な事業目標は1000億円。サービス事業全体では5000億円の早期達成を目指す考えだ。
「C&C(コンピュータ&コミュニケーション)」は、1977年に、同社中興の祖である小林宏治氏が、米Atlantaで開催されたイベントで初めて提唱し、長年に渡り、同社の代名詞的な言葉として使われてきた。一時期ほど前面には出なくなったが、11月5日に開催される同社プライベートイベントでも、「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO 2009」というように、その名称が冠として引き続き使われている。
矢野氏の社長就任からそれほど間を置かないころ、単独インタビューの際に、同氏がこんなことを言っていたのを思い出す。

「いまC&Cという言葉を使うと、古さを感じるかもしれない。しかも、連想するのはハード先行のイメージ。これからはソフトが中心となるITとネットワークの融合の時代がやってくる」
確かにC&Cの言葉が頻繁に使われた時期は、コンピュータでは、ACOSやオフコン、PC-9800シリーズというハード、コミュニケーションでは交換機というハードが先行していた。
矢野社長は就任直後から、社内向けに対しては、わかりやすいメッセージのひとつとして「C&C」の言葉を使用していたが、これからの時代に、C&Cの言葉をそのまま外部向けに使用することは、当初は考えていなかったようだ。
だが、クラウドという言葉を付加することで、C&Cはハードのイメージから、ソフト、サービスという新たなイメージへと転換することができる。
つまり、C&Cは、C&Cクラウド戦略という言葉に進化し、時を経て、クラウド時代における同社の顔ともいえるキーワードになろうとしているのだ。
「ITとネットワークの融合」がNECが目指すものであり、それを具現化する方向性が「クラウドC&C」という言葉に集約される。この言葉をどこまで浸透させることができるのか。時代をリードした「C&C」のようになりうるのか。C&Cの第2章が始まっている。