Linuxプロジェクトの利害調整は「面白さ」感じる--L・トーバルズ氏 - (page 3)

富永恭子(ロビンソン)

2009-11-05 14:09

 「今、Linuxは最小のデバイスからスーパーコンピュータに至るまで、世界中で利用されていますが、これをどう管理しているのですか?」(Zemlin氏)

 「私ひとりが管理しているのではありません」とTorvalds氏は答えた。Linuxの開発作業は、多くの開発者に分散されて成り立っている。彼の仕事は、コードを作るというより「受け付ける」ことだ。そして、他の開発者たちが会話でき、すべてがまとまる「場」を提供し、「コードの使い勝手や開発プロセスの円滑な運営を考えている」のだという。

Linus Torvalds氏 Linus Torvalds氏

 「しかし、そうであればなおさら、このマスコラボレーションのプロジェクトの中で、どうやって多くの企業や個人の利害の調整を行えるのですか?」(Zemlin氏)

 Torvalds氏は「その答えに対しては『難しさ』という表現は控えたい。それは、むしろ『面白さ』といった方がいい」と回答した。

 Linuxには、さまざまなユーザー層がおり、スーパーコンピュータから携帯電話まで、使用の目的や動機が多岐にわたっている。彼が、最も関心を抱いているのは、それらを整合させ、あらゆる人が満足して、さらに続けて利用されるようにすることであり、「18年間、ベストを尽くしながらそれをやり続けてきたということだけ」だという。

Linuxカーネルの開発は生物の進化のようなもの

 Linuxカーネルのリリースは、約3カ月ごとに1回のスパンで行われている。その開発には、1000人もの開発者が関わっているが、彼が「直接、接しているのは15人から20人ほど」だという。彼と接する開発者たちもそれぞれ15人から20人程度の開発者チームを率いており、それが、さらに枝のように広がっている。

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