人事管理のプロセスはどうサイクルする?
下崎氏は、「人事系システム」について、ヒトを管理するとき、人事業務において必要なデータを処理したり、人事管理において必要なデータを提供したりするシステムである、と説明している。
その上で、経営学の観点から人事管理を見ると、人事管理は「労働力管理」と「動機づけ管理」の2つの異なる目的を持つ、と説明している。
おおまかな人事管理のプロセスは、次のような流れになる。
まず「職務分析」で、企業が必要とする職務を遂行する上で、人に求める知識、スキル、考え方、資格などの要件を明らかにし、次に「採用管理」によって職務要件を備えた人を採用する。そして「就業管理」によって、採用した人が日々きちんと職務を遂行しているかを管理し、「人事考課」で業績や能力、勤務態度、意欲などを総合的に評価する。
人事考課をともに「給与計算」を行い、給与を支給する。同時に、給与だけではなく「福利厚生」によって待遇面の支援を手厚くし、やる気を引き出すといったことも行われる。事業展開によっては、配置替えや昇進、昇格といった「人事異動」を実施する。人事異動だけでは人材が不足する場合は「人材開発」を行うか、追加採用を考える。このようにして人事管理のプロセスをサイクルしていくのが一般的である。
既に本特集(再興に備える「人的資源活用」の基礎)で取り上げたように、近年は、労働力管理(Workforce Management)において、人の能力が顕在化した結果である業績(Performance)だけではなく、いわゆる「潜在能力(Potential)」にも注目する「人的資源管理(human Resource Management)」が主流となっている。
人のスキルやキャリアに関する詳細なデータを蓄積し、人材配置の最適化に役立てたり、計画的な研修やトレーニングを実施し、個々人の能力開発や職務遂行能力を向上したりするために活用するのだ。