「企業はあらためてDBシステムのあるべき姿を考える必要がある」
続いての講演者は、システムインテグレーターである札幌スパークルでシステムコーディネーターを務める桑原里恵氏。桑原氏は、「企業システムの進化で知るDB技術の『真価』-大規模・リアルタイムに応え、スピードと柔軟性を確保する」と題し、企業システムにおいて求められるデータベース技術などについて触れた。
桑原氏は、「データベースの重要性、あるべき姿を真剣に考えたのは、クライアント/サーバによる“Oracle 7”以来かもしれない」と前置きした上で、「改めて、データベースに求める役割と、データベースが担う機能を再認識し、そこにデータベースの技術がどう生かされるのかを考えなくては、システムそのものが行き詰まってしまう」と提言した。
「システム像が変わり、システム特性が変わり、品質要求が変わる。その中で、複数のデータベースの組み合わせを前提に考えることが必要。統合化に強いデータベース、変更や拡張性、追加に強いデータベース、既存や外部との継承性に強いデータベースが必要であり、それらを活用した上で、データベースのグランドデザインを描き直すこと、個々のデータベースの技術を強化し、自律性を高めること、データベースの基盤化を図ることが大切だ。今のままでは事業の要求に応えることができないという危機感があるが、データベースのパワーアップによって生まれる、新しい可能性に手応えを感じている」(桑原氏)
また、複数のデータベースの組み合わせにおいては、アプリケーション開発の負担増につながる危険性や、システムが複雑化し、運用負担や変更負担が増す危険性、ハードウェアの無駄や信頼性のコスト増を招く危険性があることを指摘。「データベースの自立性を高めて、アプリケーションへの依存度を下げること、システム単位の最適化やスケールアウトの発想によって、個々のデータベースと全体の両方を最小化すること、スケールアウトや“N+1”のフェールオーバーなどの技術によって、リソースの効率的で動的な配置を確保することが必要である」とした。