人材開発の業務は、給与計算のように標準化されているわけではないため、同社ではパッケージとともにソリューションモデルとしてテンプレートも提供する。もちろん企業によっては合わない部分があり、カスタマイズする必要がある。そのため、会計や人事給与よりも、さらに開発しやすいプラットフォームの上に各機能を載せたという。同社が「パッケージ型業務ソリューション」と呼ぶのも、人材開発業務においては「カスタマイズ性」を重要視しているからだろう。
「様々な企業の評価制度を知っている」という強み
同社に「ZeeM 人材開発」の個別の機能について尋ねてみると、同社独自の「特別な機能があるわけではない」という。
同社、プロダクト事業部SaaSビジネス開発部部長である上野俊哉氏は、「評価制度は企業によって異なる。そのためコンサルティングを含むソリューションを合わせて提供していく。数多くのZeeM 人事給与のユーザー (人事部) と接している我々だから提案できることも少なからずある」と話す。
つまり、クレオの強みは人事給与パッケージを通して、様々な顧客の人事評価制度を知っている点だということになる。標準的な評価制度がない以上、こうしたシステムの導入にあたっては、企業ごとのカスタマイズが前提となる。
現在、同社の顧客の多くが、Excelや紙ベースで人事評価を行っている状況にあるという。その理由として前出の林氏は「そこに様々な特殊な要素を表現したいと考えているからだ。それをシステム化するのはかなり難しく、いったんシステム化すると、今度は改変するときに大きなコストがかかる。それが次のステップに行けない理由だ」と説明する。
つまり、人材開発系のシステムに求められる重要な要件のひとつは「柔軟性」ということになる。これには、各社個別の要件を盛り込める柔軟性と、状況の変化に合わせて改変できる柔軟性の双方が含まれている。上野氏も「時代のスピードは速い。企業が求める人材やスキルの変化も速い。その成長スピードに追随できるシステムが求められる」と話す。今後、「ZeeM 人材開発」がどこまで中堅企業に浸透し、ITシステムを活用した人材開発の概念が受け入れられていくかに注目したい。