IDC Japanは11月25日、クライアント仮想化市場に関する調査結果を発表した。同社はクライアント仮想化ソリューションを、PC、シンクライアント、携帯情報機器などのクライアント端末、クライアント仮想化ソフトウェア、サーバとシステム構築費を含め定義している。
クライアント仮想化ソフトウェア市場は、2009年1〜6月に26万ライセンスが出荷、2013年にはおよそ6倍の124万ライセンスまで増加すると予想している。デスクトップ仮想化ソフトウェア市場には多くのベンダーが参入しており、2008〜2013年の年間平均成長率は61.8%と驚異的な成長率で推移すると予測している。クライアント仮想化の2013年までの累積導入率は、法人向けクライアントPCの稼働台数に対して、36.1%まで拡大すると同社は見ている。
一方のシンクライアント専用端末市場は、出荷台数が2009年1〜6月の実績値で約6万台、前年比1.8%のマイナス成長となっている。これは、金融危機や景気後退の影響を受けたものと同社は分析している。だが、2010年後半から景気が回復に向かうことで、シンクライアント化端末と合わせた出荷台数は、2013年に34万台超まで拡大すると見ている。関連サービスを含めたシンクライアントソリューションの市場規模は2013年に676億円にまで拡大するとしている。
同社PC、情報端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は「通信事業者の新規参入、仮想化ベンダーのクライアント仮想化製品ポートフォリオの拡充、ホスティングサービス事業者の新規参入などで2009年は国内のクライアント仮想化元年になった」と説明する。
その上で渋谷氏は「今までのシンクライアントで培われてきた技術とユーザー企業のクライアント仮想化に対する取り組みが合致して、2010年はクライアント仮想化がビジネス課題を解決するためのツールとして有効であることを示す重要な年になる」と見る。加えて「DaaS(Desktop as a Service)、携帯情報機器への仮想化技術の実装は、さらなる市場拡大への布石になる」(渋谷氏)としている。