日本ヒューレット・パッカード(日本HP)と野村総合研究所(NRI)は12月2日、共同でアイデンティティ連携ソリューション(以下「ID連携ソリューション」)の提供を開始した。
具体的には、日本HPが1997年より提供しているウェブ・シングル・サインオン・ソリューション「HP IceWall SSO」を、NRIが提供するOpenIDをベースとした商用ID管理ソリューション「Uni-ID(ユニアイディー)」を連携が可能な形で提供する。これにより、SaaS事業者や企業間の電子商取引において、より高いセキュリティを確保しつつ、シンプルなID連携が可能になるとする。
両社によれば、SAML等、従来のID連携システムを導入する場合、連携を行う各企業は認証システムと認証連携システムを個別に導入する必要があり、初期導入コストがかさむことに加え、運用管理にかかわる高い技術が求められていたという。
一方、今回のID連携ソリューションでも利用されるOpenIDは、サービス提供側同士の事前の取り決めが不要なため導入障壁が低く、連携先での投資が抑えられるほか、ユーザー情報のやりとりについても、同意に基づく属性連携が行われるなど自由度が高い。こうした特徴から、これまでコンシューマー向け(BtoC)サービスを中心に活用されている。
HP IceWall SSOとUni-IDの連携により、安定した認証基盤と連携するOpenID技術を、サポートとともに提供できるようになる。これによって、コンシューマー向けサービスに加え、より高度なセキュリティが要求されるBtoB(SaaS、ASP事業者とサービス利用企業間、グループ企業間などのエンタープライズ領域)においても、OpenIDの適用が可能になるとしている。両社では、企業システムにOpenIDを活用することで、低コストで柔軟かつ機動力の高いID連携基盤構築を実現し、安心した運用ができると説明している。
また既に、HP IceWall SSOを採用している企業においても、Uni-IDを追加することで、これまでのシステム投資を保護しつつ、OpenID連携に対応できるという。
日本HPとNRIでは、今回のID連携ソリューションの販売を契機とした協業を通じて、今後のクラウドコンピューティングの普及で、企業での重要性がさらに増すと予想されるID連携ソリューションの共同推進を行っていくとしている。