仮想化技術の導入で検討すべきこと--ライセンスの落とし穴とその予防措置 - (page 2)

文:Manek Dubash(ZDNet UK) 翻訳校正:石橋啓一郎

2009-12-10 07:00

3.ソフトウェアライセンス管理ツールを使う

 ライセンス管理ツールは、意思決定者が必要とする情報を提供し、より効率的に決断することを可能とする。このツールは、(不注意かどうかに関わらず)サーバをデータセンター間で動かしたり、IT部門やユーザーが仮想マシンを作ったり、ライセンスを消費したりする際に特に便利だ。

 また、ライセンスの割り当てと経費の全体像がなければ、判断は純粋に技術的な情報に基づいて行われることになってしまう。

4.・・・あるいは、ライセンス管理サービスプロバイダーを見つける

 もしライセンス管理ツールを使いたくなければ、よい資料を持った経験豊富なプロバイダーを探した方がいいだろう。そのプロバイダーに依頼して、ITスタッフに手順についてのトレーニングを受けさせたり、定期的にベストプラクティスについての最新情報を提供させることは、費用に見合う価値がある。

5.ハードウェアを合理化し、OSを仮想化する

 これは、例えばPCとMacを一緒に使わないことで可能になる。これによってサポートの負荷が減るだけでなく、Adobe Photoshopなどのシングルタスクソフトウェアのライセンスに関する柔軟性が増して、要求に応じてアプリケーションをマシン間で移動させることもできるようになり、必要な場合に特別なVMを作ることもできる。

6.Oracleには注意する

 仮想化を実施するマネージャには、特にOracleなどのアプリケーションのライセンス条件に注意させるようにする。さもなくば、自動的にVMが作成され、ロード要件に従ってそれぞれのVMでOracleのインスタンスが実行され、ソフトウェアライセンス契約に違反するということが起きてしまうかもしれない。

7.Oracleの自動的な仮想化を行わない

 OracleのライセンスはCPU単位でカウントされ、使うCPUの数が少ないほど費用は安くなる。できるだけ高速なマルチコアチップを使うようにすれば、ハードウェアにかかる費用は節約できるソフトウェアライセンスの費用で賄うことができる。また、仮想化による性能オーバーヘッドも回避できる。

 もしVMでOracleを動かさなくてはならないのなら、すべてのCPUを使わせること。Oracleの場合、VMパーティショニングを使っても必要なライセンス数を減らすことはできない。Oracleのライセンスポリシでは、16コアのサーバ上の4コアを割り当てたVMでOracleを動かしても、16コア分の値段を請求されることになる。

8.障害復旧プロセスを検証する

 障害復旧プロセスを注意深く検証し、ソフトウェアライセンスやベンダーのポリシとの関連を調査すること。障害からの復旧の手順に仮想化を使う場合、アプリケーションを移動する際にMicrosoftなどのライセンス条件に違反することがあるので注意する必要がある。

9.法を遵守する

 これは非常に重要なことだが、ベンダーの監査は企業合併や買収に伴う企業再建、ハードウェアとOSプラットフォームの移行、仮想化の試みなど、さまざまな機会をきっかけに起こり得る。

 ソフトウェアベンダーは、報道のケーススタディや、組織再建を支援したベンダーによるカンファレンスでの発表やマーケティングでそれらの変化を知る。それに加え、あるソフトウェアベンダーが企業に対して監査を行うと、他のベンダーもその企業が自社との契約に違反しているのではないかという疑いを抱く。マスコミの特ダネ合戦の餌食にならないように、十分注意すべきだ。

10.アプリケーションをクラウド化する

 アプリケーションをクラウド化することによって、ソフトウェアライセンス管理の負担そのものをクラウドサービスプロバイダーに負わせることができる。

 クラウドプロバイダーは利用量に応じて課金するため、購入されたが使われないソフトウェアの問題は生じなくなる。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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