アクセンチュアとシスコシステムズ合同会社は12月10日、両社の戦略的提携範囲を拡大し、日本においても、「アクセンチュア&シスコビジネスグループ」の展開を開始すると発表した。
米本社においては、2009年2月に、両社の営業、マーケティング、ソリューション開発および運用の支援を目的とした横断的な取り組みとして、アクセンチュア&シスコビジネスグループをスタート。同グループは、業界の課題解決ノウハウやビジネスプロセスに関する知識といったアクセンチュアの強みと、シスコシステムズが持つコラボレーションやデータセンター仮想化技術などの最先端技術、製品を組み合わせることで、ユーザーに対して、最適なソリューションを提供するもの。両社を横断し、ひとつの事業グループの形で活動を行うものとなる。
これまで欧米で協働チームを発足して事業を展開しており、「経済環境や日本の企業が置かれた立場を考えると、日本でもニーズがあると考え、このタイミングで日本における活動を開始した」(アクセンチュア、テクノロジーコンサルティング本部パートナーの伊藤智康氏)としている。
協働チームを発足するのは、アジア地域では今回の日本が最初となる。
具体的な取り組みとして、分散したチームにおいて広範なコラボレーションを実現する「ユニファイドコミュニケーションおよびコラボレーション(UC&C)ソリューション」、優れた顧客サービスの実現によって収益拡大、コスト削減、生産性向上を実現する「顧客接点の変革ソリューション」、堅牢かつ適応性の高い企業としてのインフラの構築、スマートグリッド、スマートビルディングなどの新機軸におけるビジネスの支援などを含む「インフラおよびネットワークの変革ソリューション」、次世代データセンターの実現、効率向上、コスト削減などの「データセンター向けソリューション」の4点を掲げる。
伊藤氏は「シスコの先進テクノロジーと、業務およびアプリケーションに精通した両社のコンサルタントが顧客の経営課題、成長戦略を見極めた最適なソリューションポートフォリオを提供するとともに、世界各国で蓄積された豊富な事例、情報を最大限に活用したソリューションおよびロードマップを提供できる。4つの具体的な取り組みを単体で提供したり、組み合わせて提供することで、M&A、グローバル化、サステナビリティ、レガシーインフラ刷新といったシナリオとしても提案できる。ネットワークを活用することで実現できるビジネスプロセスの策定から、最適なソリューション導入戦略の立案、構築、運用に至るまで、一貫したサービスをワンストップで提供できるのが特徴であり、コスト削減、生産性向上、俊敏性の向上、顧客向けサービス品質の向上、最適なグローバル展開といった効果をもたらすことができる」などとした。
具体的には、アクセンチュアとシスコシステムズからそれぞれ人材を出して、30人規模の協働チームを形成。同チームが中心となって営業活動を行い、これをアクセンチュアおよびシスコシステムズがそれぞれ支援する体制をとる。
アクセンチュア、代表取締役社長の程近智氏は「シスコシステムズは、社内にチーフ・グローバリゼーション・オフィサーを配置し、オランダ人が就任しながらも、本拠はインドのバンガロールにある。そこから世界的に組織をカバーしている。このように時代にあわせて組織を柔軟に変えている点について尊敬している。また、ITを活用したグローバル企業であるという点でも敬意を払いたい。アクセンチュアは経営課題からソリューションを生む企業であり、シスコシステムズは経営課題の解決を具現化するツールを提供する企業。協業による相乗効果を高めることができる」などとした。
また、シスコシステムズ合同会社の社長兼最高経営責任者であるEdzard Overbeek氏は、「日本の企業の多くが、いかに競争優位性を実現するか、グローバルに戦うための土台を作るのかといった課題に直面している。業界に特化したビジネスコンサルティングの知識と経験を持つアクセンチュアと、ICTソリューションと技術の業界リーダーである当社が組むことで、日本の企業の課題解決を促進することができるだろう。シスコは日本IBMをはじめとする他社との協力関係を持っているが、アクセンチュアとの協業は別の価値をもたらすものと考えており、グローバルなパートナーシップという点でも大きな意味がある。2004年からプロジェクトに一緒に取り組んできた経緯もあり、これからスタートするという協業関係ではなく、すでに準備を整えた上で、日本市場に展開していくものになる」と語った。