アマゾンのクラウドサービス「EC2」に続く災難--ボットネットと停電障害

文:Lance Whitney(Special to CNET News) 翻訳校正:吉武稔夫、高森郁哉 2009年12月14日 13時57分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 クラウドベースの「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」は、2009年12月第2週に2件のアクシデントに振り回され続けた。1件は内部サービスを悪用してボットネットを構成する事例が見つかったことで、もう1件はバージニア州にあるデータセンターの停電だ。

 CAからセキュリティ調査を請け負っているHCL Technologiesは米国時間12月9日、ハッカーがEC2上にあるサイトに侵入して、それを自前の指揮統制(C&C)拠点として悪用できるようにした後に、銀行情報を盗み取ることで悪名高いトロイの木馬「Zeus」の変種がクライアントコンピュータに感染していたことを発見した。

 HCLで脅威調査担当ディレクターを務めるDon DeBolt氏は、CNETの取材に対して、同社がスパムの調査で「xmas2.exe」というマルウェアのURLを含むスパムを見つけたとき、このボットネットが最初に明らかになったと語った。このxmas2.exeについては、CAのブログに説明がある。DeBolt氏は、このファイルを調べた後、それがZeusの変種であり、EC2をホストしているAmazon Web Services内部のコンピュータを呼び出していることを発見した。

 DeBolt氏の指摘によると、Zeusは銀行口座情報を専門に盗み取るキーロガーとして知られ、今回の変種も同様の犯罪を実行するという。このボットはまた、スパムによって汚染されたクライアントコンピュータのIPアドレスを報告しようと試みた。伝えられるところによれば、サイバー犯罪者らはAmazon EC2がホストしているサイトを通じてEC2に侵入したという。

 DeBolt氏らのチームは、ボットを発見すると直ちにAmazonへ連絡して、クライアントベースの分析から得た情報をすべて提供した。それ以降、Amazon側でボットネットを構成していたファイルは活動していない。

 Amazonの関係者は12月11日、コメントの要請に応じてこう述べた。「われわれは、サービスの不正使用に対するすべての指摘を極めて深刻に受け止め、それぞれを調査する。不正使用が見つかった場合は、迅速に対応してその不正使用を停止するが(中略)、今回の件でもそうした。当社の利用規定は明確であり、われわれは当社のサービスが違法な活動に利用されることのないよう、常に監視している。当社はまた、顧客のプライバシーを非常に重視しており、顧客のインスタンスを調べることはない。これは、あらゆる種類の合法な顧客がAmazon EC2上で安心して製品アプリケーションを実行できる理由の一部となっている」

 DeBolt氏によると、ボットネットが見つかったからといって、必ずしもAmazonのサービスに特定の欠陥があることにはならないという。というのも、少なくとも同氏には、ハッカーがどうやってC&CファイルをAmazonのサーバに仕込んだのかが確認できていないからだ。特定のアプリケーションにあるセキュリティホールが、侵入口を開いたのかもしれない。あるいは、Zeusの別のインスタンスがログイン情報を入手して、その情報がEC2上でホストされている必要なサービスへのアクセスに利用された可能性もある。

 DeBolt氏は、今回の事件がクラウドベースのサービスを利用することに対する警鐘を喚起すると考えているが、次第に一般化するこの種の攻撃がインターネットの危険な一面を表すとも感じている。

 まるでボットネット攻撃に対処するだけでは不十分だと言うかのように、同じく12月9日、Amazonのデータセンターの1つが停電に見舞われ、数時間にわたってサービスが中断した。Amazonの「Service Health Dashboard」は、バージニア州北部のEC2施設で接続性と電力に問題が生じたことを報告した。停電そのものは1時間も続かなかったが、スタッフたちは顧客のサイトやインスタンスを復旧させるため、数時間にわたって作業を続けた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
セキュリティ

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
IT部門の苦悩
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]