EMCジャパンは12月15日、ストレージ自動階層化機能「FAST(Fully Automated Storage Tiering)」を搭載したソフトウェア「FASTソフトウェアSuite」の提供開始に伴う説明会を開催した。FASTは、2009年4月に技術発表した、ストレージリソース間のデータ移動および配置を自動化する階層化技術。同日より、EMCのストレージ製品群である「Symmetrix V-Max」「CLARiX CX4」「Celerra NS」に、それぞれ対応したソフトウェアとして提供する。
FASTソフトウェアSuiteでは、ストレージに保存されたデータへのアクセスパターンの変化を監視、分析することで、「適切な情報」が「適切な場所」に「適切なタイミング」で動的に配置されるよう調整を行う。
アクティブなデータに関しては、エンタープライズフラッシュドライブの高いパフォーマンスを利用し、非アクティブなデータについては容量あたりのコストが大幅に削減可能な大容量SATAディスクドライブを活用する。これにより、平均的なシステム構成の場合で、購入コストを20%以上、年間の運用コストを4%以上削減できるとともに、サービスレベルを向上させることができるという。
EMCジャパン、テクノロジー・ソリューションズ本部プロダクト・ソリューション統括部プロダクトマーケティング部部長の中野逸子氏は、この技術について「事業仕分けは画期的なものだが、(FASTの)自動仕分けも画期的なもの。ストレージの管理を簡素化するだけでなく、ストレージの効率化を促進する基盤となる」と位置づけた。また、同社プロダクト・マネージャーの若松信康氏は、「自動階層化技術は主要なストレージベンダーが持っていないものであり、日本でも初めて提供される技術になる」と、その革新性を強調する。
自動階層化ポリシーは、3ステップのウィザードベースで設定でき、ユーザー側のニーズに基づいたストレージシステム内でのデータ制御、配置、移動を自動化できる。さらに、「Ionix Control Center」と組み合わせることで、アプリケーションからストレージ階層まで、エンドツーエンドでの検出と、レポート作成の自動化も行える。
具体的には、高いI/O要求の時間変化を1時間単位で分析し、自動的に適切な保存領域へ移動するという処理を行う。例を挙げると、ファイバチャネルドライブのみで80%以上のドライブがビジーであり、平均15msの応答時間だった環境が、FASTの導入と全体の4%のフラッシュドライブ化により、ビジーなドライブを25%まで削減でき、ドライブ応答時間が平均6msへと高速化できるという。「ドライブに対するI/Oの競合を68%削減し、2.5倍速いドライブ応答時間へと改善できた」(若松氏)とする。