秋葉原コンベンションセンターで行われた技術セッションには、世界中から寄せられた応募の中から、厳正な審査で58のセッションが選出され、そのうちの24セッションを日本からの発表が占めた。また、開催期間に集まった延べ400人以上の参加者の中に、Kernel Summitに出席したメンテナー約50名も加わり、発表者や参加者と情報交換が行われた。
Corbet氏は、それらのセッションの中から、TOMOYO LinuxのプロジェクトマネージャであるNTTデータの原田季栄氏と、CE Linux Forumのマーケティングチェアであるソニーの上田理氏の2人のセッションを取りあげ、レポートで紹介している。

TOMOYO Linuxのアプローチを学べ

原田氏は「Kernel Development: Drawing Lessons From "Mistakes"」(カーネル開発:失敗から学ぶ)と題した発表の中で、TOMOYO Linuxがメインライン化を果たす過程で、開発メンバー側のカーネル開発に対する知識不足や初歩的なミスなどによって生じた「失敗」の実例と、同じ失敗を繰り返さないための対応策を紹介した。
Corbet氏は「セキュリティモジュールは、カーネルにマージされるのが最も難しいタイプのコードのひとつだ」とした上で、「これまで、Linuxカーネルにはなかったパス名ベースのアクセス制御機能が、TOMOYO Linuxの採用で初めてメインラインに加わった。その貢献者が原田氏だ。彼は、その過程で多くの障壁を克服したが、その大きな要因は、彼を助けようとしていた人たちの意見に耳を傾けたことだ。他の多くのプロジェクトや開発者も彼と同じようなアプローチの仕方をすれば、メインラインへのマージはもっと容易になるだろう」という。
「今年9月のLinuxConと今回のJLSの2つの会議で行った発表は、それ以前のものとは異なる意味を持っている」と原田氏はいう。