「これまでの発表は、メインライン化というプロジェクトにとって至上の目的を実現するための手段であって、テーマの設定、ストーリー、内容などはきわめて戦略的に組み立てている。それに対して、今回行った2つの発表は、取り組みを通じて得られた知見やノウハウをコミュニティで共有することを目的としている。ギブ&テイクにおけるギブだ。また、TOMOYO Linuxは事例であり、題材なので、発表タイトルにその名前は入っていない」(原田氏)
さらに原田氏は「メインライン化を中心としたプロジェクトの経験を振り返り、そこから得られた知見を他にも展開できるような、普遍的な形で整理したものになっている。多分、これまでこうした発表は行われていないだろう」と語った。
今回のJLSの発表内容については、「『カーネル開発べし・べからず集』のように見えるが、実際には『カーネル開発入門』のほうが近い」という。
また「資料の最後には、TOMOYOの提案に対して意見を寄せてくれた方々の名前を紹介した。今回の講演、および講演資料は、実はTOMOYO Linuxのメインライン化を支援してくれた方々への感謝状となっている」(原田氏)と語った。
- 「Kernel Development: Drawing Lessons from "Mistakes"」(Japan Linux Symposium 2009発表資料)

なぜ、コミュニティに加わるのを躊躇するのか
一方、Corbet氏が「情報家電領域の組み込み系Linux開発における最強の提案者」と評価する上田氏は、「Why We Are Hesitating to Join the Community」(なぜ、我々はコミュニティに加わるのを躊躇するのか)と題したセッションで発表を行った。