またKDDIは、情報通信サービスを展開するITXおよびベトナムのSI事業者FPT Information System(FIS)と共に、合弁会社TELEHOUSE VIETNAMを設立する。資本金は約50億円で、出資比率はKDDIが34%、ITXが15%、FISが51%。ベトナムにて外資系企業の出資規制があるため、現状では外資の企業が49%以上は出資できないことになっているが、「規制の緩和が約束されているため、制度が改正されればKDDIにて出資比率を引き上げ、日本勢が51%以上持つようにしたい」(KDDI グローバルICT本部 グローバルビジネス開発部長 松田康典氏)としている。
TELEHOUSE VIETNAMは、ベトナムのハノイに新たなデータセンター「TELEHOUSE HANOI」を開設し、2010年3月よりサービスの提供を開始する。石川氏は、「ベトナムはインフラが整備途上で、ベトナムに進出する企業のICT需要を支える国際標準データセンターが不足している。Tier 3のデータセンターは1つしかないのが現状だ。その一方で、IDCによるとベトナムのデータセンターの市場規模は年率27%の成長が見込まれている。こうした状況に対応するため、Tier 3相当のデータセンターを設立する」と述べている。
TELEHOUSE HANOIでは、停電などの障害発生に備え、変電所からの環状(ループ)配電方式の受電やUPS(無停電電源装置)、自家発電設備が完備されているほか、火災予兆検知システムなどのトラブル予防設備も備わっている。また、24時間体制で警備員が配置されており、生体認証装置で入退室を管理するなどのセキュリティ対策を施している。
このほかにもKDDIでは、11月12日にバングラデシュのインターネット接続サービス会社bracNetへの出資や、12月1日に香港の通信事業会社DMX Technologies Groupの連結子会社化、翌2日には同社グループの欧州現地法人TELEHOUSE EUROPEによる南アフリカ共和国のケープタウンでのデータセンター開設を発表するなど、積極的に新興国への進出を進めている。石川氏は、「新興国は金融危機の影響が少なく、日系企業の売上も拡大している。新興国への進出はKDDIの新たな挑戦だが、こうした国でKDDIの強みを生かして新規事業領域を拡大することで、新たなビジネスチャンスにつなげたい」と述べた。