米政府が、新ポストのサイバーセキュリティ担当調整官を任命した。任命されたのは同分野で40年のキャリアがあり、MicrosoftやeBayでの在職経験も持つ人物で、直面する難題についても、その経験から教訓を導き出すことができるはずだ。
ホワイトハウスは米国時間12月22日、Bush前政権時にセキュリティ担当顧問を務めたHoward Schmidt氏が、Obama政権下で新設されたポストのサイバーセキュリティ担当調整官として公職に復帰すると発表した。
Schmidt氏は新たな任務において、国家安全保障会議(NSC)の監督下に置かれる。また、The New York Timesの取材に応えた関係者の話によると、Schmidt氏は「Obama大統領と定期的に連絡を持つことになる」という。
Obama大統領は2009年に入って、政府業務を合理化する取り組みの一環としてサイバーセキュリティ政策の見直しに着手した。さまざまな政府機関による縄張り争いや、国土安全保障省(DHS)の能力不足が露呈したことから作業は難航し、Obama大統領自ら、米国はサイバーセキュリティの分野で十分な態勢が整っていないと断じる事態にもなっていた。
こうした見直しの結果、ホワイトハウスは新たなサイバーセキュリティ担当調整官の必要性を認識し、何カ月にも及ぶ紆余曲折を経て、今回Schmidt氏が公職に復帰することになった。
Schmidt氏は、事前に録画された自己紹介スピーチの中で、情報技術は素晴らしいチャンスを提供するが、同時に国の安全保障や治安、経済上の競争力、個人のプライバシーに重大な危険をもたらすものでもあるとの見解を述べた。同氏はさらに、技術への依存が強まるにつれて、セキュリティとプライバシーを保護する必要性も高まると語った。
こうしたことから、Schmidt氏は、以下に挙げる複数の重点分野に注力するようObama大統領から指示を受けたという。
- 包括的な新戦略を展開し、将来起こりうるサイバー事件に対して組織的に対応できるよう、米国のネットワークの体制を整える
- 米国内外における公的および民間のパートナーシップを強化する
- 次世代技術の研究開発を促進する
- サイバーセキュリティや意識の向上、教育の促進のための国家的キャンペーンを主導する
Schmidt氏は、米政府が独力でサイバーセキュリティに関する問題を解決することはできないと認めたうえで、自身の課題について、オンライン上の防衛強化を目指す新たな包括的サイバー戦略の一環として、政府や民間部門を含む利害関係者を結束させることだと述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ