オブジェクト指向のプログラミング言語に、あらゆるOSにポーティング可能なプラットフォームとしての汎用性を付加したJavaは、「Write Once, Run Anywhere」をスローガンに華々しく登場した。私も、SunWorldカンファレンスでの公式発表後には、早速Java VMをWindowsとMacintoshにインストールし、HotJavaブラウザを動かしたり、SDKを使ってごく簡単なコードをコンパイルし、いずれのOSでもアプレットが動くのを見て感心したものだ。
その後、Javaは業界を挙げたオープンな取り組みも奏功し、デスクトップ分野からサーバ分野、組み込み分野へと適用分野を広げ、特にサーバサイドアプリケーションや携帯電話向けのアプリケーションプラットフォームとしては確固たる地位を築いた。サーバサイドでのJavaを目にする機会はそうないかもしれないが、携帯電話の電源ON時にコーヒーカップのマークとともに表示される「Java」の文字を目にした人は多いことだろう。
Javaのみならず、Sun Microsystemsがこれまでコンピューティング、ネットワーキングの分野で起こしてきたイノベーションは数多い。また、創業者であるScott McNealy氏は、1990年代前半において、OracleのLarry Ellison氏とともにアンチマイクロソフトの急先鋒として毒舌をふるっていた。だからこそ、2004年のMicrosoftの和解に伴う、Steve Ballmer氏とMcNealy氏との握手には、ひとつの時代の終わりを感じたものだった。
そして今年。IBMによる買収が濃厚と思われていたSunは、急転直下、Oracleの傘下となり、6月に開催されたJavaOneでは、Sunの会長として登壇したMcNealy氏が、Ellison氏と並び「Tシャツ投げ」に参加する姿が見られた。
Sunの技術とハードウェアを手に入れたOracleは、総合ITベンダーとしてIBMとの真っ向勝負に挑む決意を表明。その先陣として「Exadata」を送り込んだ。あらゆるソフトウェアベンダーに加え、Sunをも飲み込んで拡大を続けるOracleの動向からは、来年も目が離せない。
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さて、「個人的に気になった今年のニュース」としながら、この件に触れないのもワザとらしいので、あえて書いておく。
このニュースが正式に発表されるまでの社内外でのあれやこれやについては、書き始めたらそれだけで連載が成立してしまうほどの文字量になるので、今回は遠慮しておく。ただ、ひとつだけ言えるのは、親会社が変わったことで、サイトの外側からは見えない、社内の状況が、既に大きく変わりつつあることだ。
2010年早々には、そうした内部の変化が、外側から見える形で表れてくるはずである。もちろん、ZDNet Japan、CNET Japan両媒体の関係スタッフも、その変化をより魅力的にサイト上で表現できるよう、知恵と力を振り絞っている。来年も、両媒体に対し、今年以上のご支援とご鞭撻(べんたつ)をいただけるよう、心からお願いしたい。