ソフトウェアベンダーであるOracleがDWHアプライアンスという形でハードウェア市場に乗り出したのは意外だった。DWHの市場では、長年にわたってDWH専用サーバ「Teradata」が強いプレゼンスを発揮していたが、NetezzaのDWHアプライアンス「Netezza Performance Server(NPS)」が次第に、その威力を見せつけ、Teradataに対抗するようになってきている。
ユーザー企業にとってBIがもたらす機能は重要だ。その基盤となるDWHで性能強化、具体的にはどんな大きなデータであっても、瞬時に回答を出せるような性能強化が求められる。そう考えると、BI市場へ参入したベンダーがDWH市場へと戦線を拡大していくことはビジネス面で正しいことが分かるだろう。つまり、OracleがDWHアプライアンスを市場に投入するのも、何ら不思議なことではない。
相次ぐ参入
年が変わって2009年6月にMicrosoftは、買収したDATAllegroの技術をDBサーバ「SQL Server 2008」のBI機能として活用して、SQL Server 2008をベースにしたDWHアプライアンス「SQL Server Fast Track Data Warehouse」(SSFTDW)の提供を始めている。
そして2009年8月に、NetezzaはDWHアプライアンスの新製品「Netezza TwinFin アプライアンス」(TwinFin)の国内提供を開始した。このTwinFinは、IBMのブレードサーバ「IBM BladeCenter」とNetezzaのDBアクセラレータカードを組み合わせて、「Netezza ソフトウェア」を搭載した構成となっている。TwinFinは、既存のNPSの2〜5倍もの性能を実現しているという。
ここまでの(DWHを含めた)BI戦争は、主に製品を提供するベンダー側の動きだったが、2009年後半になってからは日本国内のシステムインテグレーター(SIer)を絡めた動きが激しくなってくる。
まず9月15日に、NECがサーバとストレージにSSFTDWを組み合わせた製品を「NEC版SSFTDW」として国内提供を始める。それから約2週間後の9月29日に、NTTデータがTeradataの国内提供を手掛ける日本テラデータと提携して、Teradataを核としたDWHとBIのソリューションを展開することを発表している。
NTTデータと日本テラデータの共同展開が発表された翌日の9月30日には、日本IBMがDWHとBIのシステム構築を最短12日で実現するというアプライアンス製品「IBM Smart Analytics System V.1.0」の提供開始を発表している。Smart Analytics Systemは、DB管理やデータ統合、運用管理の自動化を支援するDWH構築向けのミドルウェアやサーバ、ストレージの組み合わせに、基本導入、高可用性設計、テストまでの構築サービスを組み合わせたものだ。これには、IBMのこれまでのノウハウが活かされているという。
BIで何をするのか
この9月には大きな動きが出てきている。前年の2008年9月にExadataを発表したOracleが、Exadataの後継として「Exadata Database Machine Version 2(Exadata 2)」を発表している。前版がHPの技術を活用していたのに対して、Exadata 2は、Sun Microsystemsの技術を大きく取り込んでいるのが特徴だ。Exadata 2は、DWHとともにオンライントランザクション処理(OLTP)用途にも強みを持っているという(日本国内での提供は11月から)。
11月に入ってからは国内の動きが激しくなっている。11月1日に、NTTデータ先端技術が、DWH専用DBの最新版「Sybase IQ 15.1」を搭載したDWHアプライアンス「Sybase Analytic Appliance」(SAA)の販売を開始している。SAAの国内提供はこの時が初めてだ。SAAは、ハードウェアにIBMの「IBM Power Systems」を採用して、BIアプリケーションに「MicroStrategy 9」、ETLツールに「Sybase ETL 4.9」、データモデル管理ツールに「Sybase PowerDesigner 15」を組み合わせている。