Amazonや楽天の品揃えを見れば、明らかに昔と違う市場が展開されていることに気づくでしょう。ITはすでにコンピュータオタクの私物ではなく、企業経営そのものともいうべき存在に成長しているのです。
しかし、実態はというと、未だにIT投資はブラックボックスのまま。さらには経営的な視点でITをみるべきCIO機能すらないのが現状です。このような状況で議論される「クラウド」がまともなものであるはずもなく、相変わらずのバズワード論争。吠えるソフトウェア/ハードウェアベンダー、システムインテグレーター、通信キャリア、メディア、そして相次ぐ的を射ないクラウド関連書籍の乱発が、クラウドを戦略的に重要なIT概念から「いつものバズワード」へ陥れてしまっているのです。
手前味噌で恐縮ですが、私の本のタイトル通りまさに「クラウドコンピューティングの幻想」の世界になっているのです。これだけ情報が溢れているにも関わらず、経営的に「クラウドコンピューティングとは?」を語れる人が何人いるのでしょうか?
ITを「事業仕分け」することが重要
リーマンショック以降、企業は緊張感を持って経営に臨んでいるように見えますが、エンタープライズITへの取り組みを見る限り、まだまだ緊迫した雰囲気は読み取れません。しかし、今後さらに厳しい競争環境が続き、その中で生き残るためには、縮小し続ける国内市場から脱却するために、さらなる国際競争力の強化が必要です。
しかし、現在の国際競争の場は、相手が米国ではなく、中国や韓国といった同じ顔をしたアジアの強兵、今までビジネスの表舞台ではお目にかかれなかったインドといった新興国と争う戦場なのです。