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IFRS対応は“松竹梅”で取り組め--自社の経営モデルを改めて見直そう - (page 2)

野村直秀(アクセンチュア IFRSチーム/経営コンサルティング本部 エグゼクティブ・パートナー 公認会計士) 鈴木大仁(アクセンチュア IFRSチーム/テクノロジーコンサルティング本部パートナー)

2010-01-07 09:00

 それでは、IFRSを採用することで、企業の担当者はどのようなメリットがあると考えているだろうか。

 IFRSのメリットとして一般的に指摘されているのは、IFRSは資本市場での共通の財務指標であり、いわゆる横比較がしやすくなるということだ。さらには、M&A時にも余計なデューデリジェンス(企業がどのような価値を持っているか計算する作業)の必要ないということもメリットだといわれている。

 米企業にしてみれば、IFRSという新たな世界基準に取り立てて期待するところはないと考えても不思議ではない。米資本市場は極めて大きく、これまで世界中で米国会計基準が標準的な会計基準として通用していたからだ。

 しかし、米企業も実はIFRSを前向きにとらえている。アンケートから見えてきたのは、会計基準が統一され、IFRSを理解する人材が世界中に存在するようになることをメリットと受け止めている点だ。このような基盤を使って、自分たちの業務のリスクの軽減、業務の効率化や高度化への期待が大きい。

 IFRSは新しい会計基準であり、これに対応するためには自社の業務プロセスを変える必要があるが、それでも新たに享受できるメリットのために、IFRS対応に多額の投資をしてもよいと考えている人が多いこともアンケートで明らかになっている。

図2 米国IFRS調査:IFRS適用による効果(出典:アクセンチュア)
※クリックすると拡大画像が見られます

3つのコース

 IFRS導入において、個々の企業はどう対応すべきなのだろうか。その対応方法について、われわれはいわば最小限の対応から、IFRSを“使い倒す”レベルまで3段階の対応があると考えている。

 最小限の対応方法は、“コンプライアンス(法令順守)”というレベルだ。 “松竹梅”という3つのレベルでいえば、最初の“梅”である。IFRS対応の基本というべきもので、企業なら必ずやらなければいけないレベルだ。上場企業はIFRSに基づく財務報告ができなければ上場廃止になるわけで、最低限必要なレベルといえる。

 具体的には、どのような対応になるのだろうか。端的にいえば、経理部門を中心に新しい数字を作ることにフォーカスし、それ以外にはあまり手をかけないというアプローチになる。決算時には経理部門の人がマニュアルで数字を作るというイメージだ。

 2つ目は、現在の決算のスピードや品質を維持するというレベル。“アプリケーション(対応)”というレベルで、松竹梅では真ん中の“竹”にあたる。

 最近、東証のルールや金融商品取引法などでも決算品質やスピーディーな決算の重要性が指摘されており、情報の早期開示がIR上プラスになるという認識が広まっている。その水準を維持しながらIFRSを順守するとなると、業務プロセスやさまざまな施策を並行して実施する必要がある。

 3つ目はIFRSを使い倒すというレベルで、これは松竹梅では最上位の“松”ということになる。世界中で同じ会計基準が使えるようになり、この新しいルールに習熟した人たちを世界中で活用する段階である。

 “松”コースまで来ると、構築した基盤を有効に活用するためにも、社内のオペレーション自体を大きく変える必要がある。IFRSを熟知した人材をどのように有効に使ったらよいのか、こうした情報環境をいかに有効に活用して「連結経営」の高度化に結びつけるのかという視点が生まれてくる。ビジネスモデルの見直しも視野に入れ、企業そのものの大きな変革を考えるレベルだ。

 当面は“梅”対応で行こうという企業もあるだろう。しかし多くの企業は、中期的には“竹”、または“松”の対応を目指すことになると思われる。そうでなければ、自分たちの財務報告の水準自身が後退する可能性があるからだ。また、IR的な視点、新しい競争の時代に向け自社の強さを維持、拡大していくという側面からも、時流から取り残される恐れがある。

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