クラウドサービスの分類は大きく3つ
さて、ここで改めて「クラウドのおさらい」をしておこう。クラウドは様々な「as-a-Service」として分類されるが、最近では大きく「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3分類が定着しつつある。
ご存じのように、SaaSは「サービスとしてのアプリケーション」を意味し、代表例としては、Salesforce.comやGoogle Apps、あるいはMicrosoft Business Productivity Online Suite(BPOS)などのアプリケーションがある。利用者はインターネット経由でこれらのアプリケーションを利用できる。SaaSの先駆けはSalesforce.comだ。
PaaSは「サービスとしてのプラットフォーム・ソフトウェア」を意味し、インターネット経由で言語、ミドルウェア、ストレージなどを組み合わせた開発プラットフォームを提供する。代表的なサービスとしては、Google App EngineやForce.com、あるいはAmazon SimpleDB Service、Windows Azureなどがある。
IaaSは「サービスとしてのインフラストラクチャ」を意味し、主にサーバOSとネットワークなどのインフラを組み合せてインターネット経由で提供する。代表サービスとしてはAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)やGoGridなどがある。
全体の構造を見ると、従来のシステムと同様に、IaaSというベースの上で、PaaSという仮想環境が構成され、その上でSaaSが稼働している3層構造のイメージになる。つまり、クラウドサービスは、利用者が必要とするコンピューティングリソース(アプリケーション、開発プラットフォーム、ハードウェア等)を、必要とする量だけ割り当てて利用させ、不要になったら直ちに回収するサービスと言える。
クラウドの利点は、1週間や1カ月程度の短期プロジェクトにおいて、大量にCPUやディスク、データベースが必要になった場合などに利用すると、リソースを物理的に購入するよりもずっと安く上がること。
例えば、エンタープライズ用データベースサーバを10台、1カ月間だけ使いたい場合、購入するとライセンス料は5000万円以上必要になるが、クラウドなら使った分だけ支払えばよい。クラウドは「みんなでシェアして使うマルチテナント方式」であるため「規模の経済効果」が効いて安上がり、というわけだ。