NECのREACH対応含有化学物質管理ソリューションが三菱重工で運用開始

大川淳

2010-01-15 20:56

 NECは1月15日、三菱重工業(三菱重工)の家庭用、業務用空調機器やカーエアコンなどを担当する冷熱事業本部(愛知県清須市)向けに、製品の含有化学物質情報の管理伝達を効率化するソリューション「ProChemist」を構築し、このほど同社で運用が開始されたと発表した。

 ProChemistは、欧州連合(EU)の化学物質規制「REACH」に関わる教育や、業務プロセスの現状分析、課題把握、最適な業務フローの設計といったコンサルティングを行う「業務構築支援サービス」、含有化学物質情報の収集および管理や関係企業への情報伝達を効率化する「ITシステム構築サービス」、サプライヤーへの教育を含めたREACH対応業務の効果的・継続的な運用を実現する「運用支援サービス」などを提供する総合的なサービスソリューションだ。

 REACHは、約3万種類に上る化学物質の環境リスクを管理する規則で、2008年6月から、本格的に運用が開始されている。欧州市場に直接または間接的に製品を輸出する企業は、これに準拠して製品の化学物質含有の有無や量などの情報管理および伝達が求められる。また、日本ではサプライチェーンで化学物質情報を適切に管理、開示、伝達するための具体的な枠組み作りと普及を目的に、REACHに対応する情報流通の標準化を図る業界団体「JAMP(Joint Article Management Promotion-consortium)」が標準化を推進しており、これと連携することも必要となる。

 三菱重工の冷熱事業本部では、空調製品の3分の1が欧州向けであるとともに、中国やタイなど海外8カ所に生産拠点を置き、世界の約700社と8万点におよぶ部品の取引をしているなど、事業の国際化が進んでいる。このため、電子、電気機器についての特定有害物質の使用制限を規定した、EUによる「RoHS指令」対応など、化学物質規制対策に積極的に取り組んでおり、今回は「ProChemist」を採用してREACH対応を実現した。

 今回運用を開始したシステムには、PDM(Product Data Management:製品設計技術情報管理)や生産管理システムと連携して、従来のRoHS対応システムを継承し、有害物質情報を一元管理する「ProChemist/BM」、JAMPの情報伝達標準規格に対応し、サプライヤーや顧客との調査回答授受、伝達を行う「ProChemist/CS」、NECのデータセンターから提供されるSaaS型アプリケーションサービス「ProChemist/AS」などが含まれている。

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