中堅中小企業のストレージ投資は「新たなニーズ創出」がカギ--ノークリサーチ調査

富永恭子(ロビンソン)

2010-01-15 22:22

 ノークリサーチは1月15日、国内の中堅中小企業におけるストレージ投資動向に関する調査結果を発表した。

 同社によれば、この調査は、年商5億円以上500億円未満の国内民間企業に対し、ウェブアンケートとして実施されたもの。2009年5月時点と2009年12月時点のストレージ投資関連の設問に対する回答状況を比較することにより、ユーザー企業のストレージ投資への取り組み状況の変化を分析したものだという。5月の実施で1200社、12月で800社が、この調査に回答している。

 同社は調査結果の総括として、ストレージ投資にはサーバ同伴機器としての位置づけから脱却し、個別の新たなニーズの創出が求められているという。その背景のひとつとして、ストレージ投資の潜在需要は存在しているが、経済環境が大きなブレーキとなっていることを挙げている。

 「ストレージ投資を行わない理由」で最も多かったのは「ストレージ容量が足りている」ことだが、ストレージ投資の必要性を認識するユーザー企業も存在しており、不況によって導入に踏み切れない状況にあるという。また、「サーバ内蔵ハードディスクで十分」という回答が増えている点やストレージをサービス形態で利用するユーザー企業が増加する兆しもあり、サービス形態の今後の動きにも注意を払う必要があるとしている。

 一方、ストレージ投資のきっかけとなる事由を尋ねた結果から、ハードウェア投資が抑制される状況の中で「クライアントPCのログデータ」はストレージ導入を引き出す有効な施策のひとつになる可能性があるともいう。

ストレージ投資のきっかけ ストレージ投資のきっかけ(出典:ノークリサーチ、画像クリックで拡大表示)

 「ストレージ投資のきっかけ」に対する回答の5月と12月の比較では、厳しい経済環境がハードウェア投資全般を抑制したことにより、ハードウェア導入に伴うストレージ投資がいずれも減少している。しかし、バックアップ用途は回答比率の上では若干増加しており、中堅中小企業においてもデータ保全に対する意識が徐々に高まっているのは確かであるとする。そのため、データ保全の意識を高度なストレージ機器の導入へといかに結びつけるかが、今後の課題となるという。

 さらに同社では、今後導入を検討しているストレージ機器の形態を尋ねた結果から、ストレージ代替として導入されてきたサーバがNASやIP-SANの普及を阻害する可能性もあるとしている。

 これは、経済不況で運用管理負担の面からもサーバの導入に急ブレーキがかかり、データ容量を増やす場合は、既存のサーバへ安価に追加できる「DAS接続」や「共有SAS接続」が多く選ばれる一方、「ファイルサーバまたはNAS」は減少するという流れが考えられるという。

 ノークリサーチでは、これらの分析結果に加えて、ユーザー企業の属性や現時点でどのような形態のストレージ機器をどんな用途に活用しているかといった個別の状況が、今後の投資意向を大きく左右するとしている。

今後導入を検討しているストレージ機器の形態 今後導入を検討しているストレージ機器の形態(出典:ノークリサーチ、画像クリックで拡大表示)

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