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デスクトップのシンクライアント化、その本質と価値とは - (page 2)

栗原潔(テックバイザージェイピー)

2010-01-20 08:00

 第2のメリットは情報漏えい対策である。言うまでもなく、ノートPCやUSBメモリを社外に持ち出すことで重要な情報(特に個人情報)が漏えいするケースが頻発している。このような行為を禁止するポリシーは当然必要だが、厳守されにくいのが実情だ。シンクライアントでは重要なデータがサーバ側に置かれるため、このようなリスクを低減できる。

 もちろん、たとえば画面のコピーを取るなどの手段を取れば情報を社外に持ち出せるので、シンクライアントを採用しても情報漏えいのリスクがゼロになるわけではない。とは言え、十分な抑止効果があると言ってよいだろう。最近のシンクライアント採用のケースではこの情報漏えい対策が主な理由として挙げられることが多くなっている。

 第3のメリットはユーザーの作業環境と物理的な機器との切り離しである。個々のクライアント機器にデータやアプリケーションが保存されていないので、必要な認証手続きさえ行えば、どの機器においても自分のPCの作業環境を呼び出すことができる。この機能はフリーアドレス型オフィスとの親和性がきわめて高い。また、社内で出張した場合でも、ノートPCを持ち歩くことなく出先で作業を行うことができる。これは先の情報漏えい対策にもつながる。認証手段としてスマートカードなどを使えば、さらに快適なエクスペリエンスが提供されるだろう。

 この考え方をさらに進めれば、将来的には空港やインターネットカフェといった社外でも自分のPC環境を自由に呼び出せるようになるかもしれない。これはまさにクラウド時代のあるべき姿のひとつと言えるだろう。

 第4のメリットとしてデスクトップ機器のライフサイクルの長期化が挙げられる。ソフトウェアの機能が豊富になりCPUの負荷が増した場合でも、シンクライアントであればサーバ側で負荷が吸収でき、クライアント機器を交換する必要がない。結果的に、同じ機器をより長期に渡って使用できる可能性が高い。

 最後のメリットとして、あまり論じられることが少ないが、シンクライアントの採用によってグリーンIT(より具体的に言えばシステムの消費電力の削減)に貢献し得る点が挙げられる。一般に、シンクライアント機器は通常のPCと比較してはるかに電力消費量が少ない。典型的デスクトップPCの消費電力が数百ワットであるのに対して、シンクライアント機器は数十ワットである。これは、ハードディスクや冷却ファンを省略できる点が大きい。

 ここで、確かにクライアント側の消費電力は削減できるかもしれないが、その分、サーバ側の消費電力が増えるのではないかという意見があるかもしれない。その考え方は確かに正しいが、一般にサーバ上では多くのワークロードを集約できるため、そのハードウェア利用率はクライアントと比べて高く、データセンターに置かれるサーバは冷却効率も優れている。つまり、シンクライアントをシステム全体として見た場合、消費電力の合計は削減可能となる。経験則としては、数十%程度の削減が達成されるケースが多い。

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