ブレードPCは、ブレード単位で個別にOSやアプリケーションを搭載するため、アプリケーションの互換性が最も高く、障害発生時の影響範囲も小さいが、「コスト高となるため選択肢からははずれた」と谷上氏。そこで、仮想サーバベース方式のXenApp、仮想PC方式のWMware ViewおよびXenDesktopの採用を検討したという。

オージス総研では、すでに社内システムにてXenAppを利用していた。XenAppは、これまでの利用実績もあるほか、仮想PC方式より少ないリソースで多くのユーザーを集約することが可能だ。そのためコールセンターでも導入できればいいと考えたが、「利用予定のアプリケーションを検証したところ、XenAppでは一部動作しなかった。一方、仮想PCではこれまで使ってきたファットクライアントの環境が限りなくそのまま再現できた」と、谷上氏は仮想PCに選択肢が絞られた経緯を説明した。
仮想デスクトップとして2製品を検討したオージス総研が最終的にXenDesktopを選んだのは、「これまでにXenAppを利用していたため、同じベンダーの製品を使うという安心感があったことと、きめ細やかなサポートを行ってくれたことなどが決め手になった。また、現在は利用していないが、将来のことも考えてインターネット経由での利用速度やActive Directoryの依存度も検証したが、これらの面でもXenDesktopが最適だと判断した」と谷上氏は言う。
担当者も管理者も笑顔
こうしてできあがった新システムでは、オージス総研のコールセンターからXenDesktopのポートにのみアクセスが可能な構成となっている。

これまでコールセンター担当者は1台のPCでオージス総研のアプリケーションと大阪ガスの業務アプリケーションを共存させていたが、大阪ガスのアプリケーションをXenDesktopに移行したため、コールセンター担当者は「両方のPCが安定して稼働するようになり、しかも早くなった」と話しているという。大阪ガス側の標準PCと同じ環境をXenDesktop上で作っているため、問い合わせ内容の再現も迅速にできているとのことだ。
そしてもちろんこの環境は、IT管理者にとっても非常にありがたいものだ。情報漏えい対策が向上したほか、新人が入ってきた際のPCのセットアップも「過去には半日かかっていたが、今では1時間でできるようになった」という。
新たなサービスに向けて
今後オージス総研では、デスクトップの仮想環境をサービスとして提供する予定だ。3月にも開始予定の「おふぃすワープ」というサービスは、新型インフルエンザのまん延などパンデミックが発生した場合、自宅のPCに専用のUSBキーを挿入するだけで専用のOSが起動し、企業システムに接続できるというものだ。
谷上氏は、「理想のシステムとしては、自社システムとクラウドサービスがシームレスに利用可能となること。そのためにまずは認証連携に着手している」と述べ、「今後サービス化はクラウドの利用でさらに拡大するだろう」とした。
