――秋草さんが取締役でいることで富士通は“院政”が敷かれているといわれる。“小姑”がいてうるさいと思ったことはないか。
山本氏:現体制で常務として働いてきているが、院政だとは思ったことがない。小姑といわれたが、うるさいとは思ったことがない。重要な意見として聞いている。
間塚氏:(一部報道で)院政があるとか小姑や大姑がいるとか書かれているが、書かれてあるようなことはない。誰が大姑なのか知らないが、大姑から指示されたことはない。

――新体制の副社長には山本さんよりも年齢が上の先輩がいるが、やりにくくはないか。
山本氏:確かに先輩がいるが年齢は関係ない。気にしたことがない。世界のコンペティターの経営層と比べると決して若くはないと思っている。
――歴代の社長になくて山本氏にあるものは何か。
山本氏:歴代社長になくて私にあるものが何なのかははっきり言えない。ただ共通していることがあるとすれば、富士通にかける熱いものがあるということだ。
PC事業には日本のPCの黎明期から携わってきた。その中でネットの世界にも関連した事業にかかわってきた。そうした経験を富士通のグローバルビジネスに生かせると思っている。
中堅中小ビジネスはFJBを中心に
――サービスやソリューションが主流となっている富士通で、ハードウェア出身の社長は久しぶりだ。
山本氏:今後の世の中はクラウドが中心になっていく。その中で富士通は人に優しい、ヒューマンセントリックコンピューティングを目指している。ヒューマンセントリックでは、人とシステムの接点である携帯電話とPCが重要になってくる。携帯電話とPCは富士通の得意とするところであり、今後も注力していくことに代わりはない。
――IAサーバを世界で50万台販売するというのは変わらないのか。
山本氏:IAサーバを世界で50万台販売するというのは公表しているものであり、変わりはない。クラウドが今後重要になってくるが、そのクラウドの中でIAサーバが重要であるとの考えは変わっていない。
――プロセッサ事業をどのように考えているのか。スパコン事業はどうなるのか。
山本氏:世界でプロセッサを開発できるのは、IBMとIntel、そして富士通だ。富士通社内のプロセッサの位置付けは高い。クラウドを展開していく上でプロセッサを持っていることは、差別化の要因になると考えている。
10ペタFLOPSのスパコンができるのは、富士通にプロセッサがあるからこそできる。半導体を残すのか売ってしまうのかとなるが、半導体は事業として儲けられるようにしていく方針だ。
――野副氏は「事業の整理整頓」を進めてきたが、それはどうするのか。
山本氏:事業の整理整頓はかなり進んできている。そのほかにやるべきことがあるかどうかは、4月までに見極めたいと思っている。
――中堅中小企業を対象にした営業体制はどうするのか。
間塚氏:これまでにいろいろと変えてきたが、地域と業種を軸にしていく。富士通ビジネスシステム(FJB)を中心に展開していきたいと考えている。