仮想化技術によって複数の業務アプリケーションを容易に仮想サーバへ配置できるようになっても、サービスレベルやシステム全体の信頼性を維持しながら業務実行に影響を与えないよう、ハードウェアリソースを最適に割り当てることが求められるというのが日立の主張だ。
「従来は物理サーバと業務アプリケーションを1対1で管理でき、仮に障害が発生しても被害は限定的だった。しかし、クラウド時代の仮想化環境では1つの物理サーバに複数の業務アプリケーションが配置されるため、(障害発生時は)被害がより大きくなる。業務視点で物理サーバ、仮想マシン、業務アプリケーションを一元的に管理できるシステムを作っていくことが非常に重要になってくる」と尾花氏は訴える。
環境設定の自動化で仮想サーバの構築時間を最大10分の1に短縮
Cosminexus V8.5の新機能のポイントは主に2つ。その1つは仮想サーバ構築機能の強化だ。仮想化環境におけるシステム構築は、システム運用を考慮しながら仮想サーバと物理サーバの関係を意識して業務アプリケーションを確実に配置する必要がある。しかし、そのためには仮想サーバの環境設定スクリプトを複製した後に、仮想サーバ1台ごとに環境設定する面倒な作業が必要とされ、煩雑な作業が設定ミスを誘発する危険性も少なくない。
ウェブアプリケーションの実行および運用機能を提供する「uCosminexus Application Server」では、業務アプリケーションごとにデプロイしてプロセスを立ち上げるといった仮想サーバの環境設定を一括構築し、各仮想サーバのアドレス設定やロードバランスなど、各種パラメータ環境設定を自動で行う機能を新たに盛り込んだ。それにより、人為的な設定ミスによるシステムダウンなどの事故を防止するとともに、作業量を大幅に削減し、構築時間を従来のV8と比べ最大10分の1にまで短縮。仮想サーバ構築時間の短縮と、運用の効率化を実現している。
だが、こうした仮想化環境の運用では、業務アプリケーションが物理サーバや仮想サーバにどう対応づけられているかを的確に把握することに時間がかかり、運用操作が複雑で、手間やミスを誘発しやすい状況にあった。