アメリカの就職事情から学ぶ外資系企業への転職術--エリック松永の英語道場(42) - (page 2)

エリック松永

2010-02-05 08:00

アメリカ人の公正さを理解する

 ここまで読んでいると、なんだかアメリカは厳しい国だなあとネガティブな感覚に陥りそうですが、少し待って下さい。

 アメリカを一言でイメージすると、私の中では「Fairness」(公正さ)という言葉が頭に浮かびます。私の大好きな言葉です。日本企業で働いて初めてアメリカの企業は平等にチャンスを与えてくれるのだということに気づきました。私のようなMinority(アメリカ人から見ると日本人はMinorityです)でも、人種や性別、年齢ではなく、あくまで能力で評価してくれるからです。「アメリカでは人種差別が問題になっているじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、私自身、ビジネスの世界にいて、そして外資系企業から日本企業に転職して、つくづく「アメリカはFairな国だなあ」と実感したのです。

 アメリカの就職で最も重要とされる「何ができるか」という判断基準は、考えてみれば当たり前の話です。しかし日本では、新卒、中途を問わず、まだまだこの当たり前のことをきちんと考えて仕事を選ぶ人が少なく、何かとノウハウに頼りきって自分の戦略を持っていない傾向が強いのです。自分に何ができるのかをアピールするためには、相手が何を求めているか分からなければなりません。やみくもにできることを羅列しても、かえって「Overqualified」という評価を下されることもあるわけです。自分のやりたいこと、やれることは個人によって違いますから、ノウハウ本でカバーできるはずがありません。

エリック式、日本人を生かしたアピール方法

 しかし、いきなり自分の能力と言われても困ってしまうでしょう。私は能力とは氷山のようなものではないかと考えています。学歴や職歴、経験は氷山の目に見える部分です。しかし、採用では氷山の下の部分についても考える必要があります。特にEntry Levelを狙う新卒や未経験者は、氷山の下のアピールが重要です。しかし、実は経験者の転職でも、採用を左右しているのは氷山の下の部分だったりします。職務経歴を書類で提出し、書類選考後に肝となるInterviewが待っていますからね。

 私は日本人なので、外国人からInterviewを受けるときは、外国人の日本に対するイメージを最大限に利用しつつ、日本人に抱く負のイメージをさらりと打ち砕くアプローチが必要だと思っています。

 ちなみに、私が個人的に面接でアピールする氷山の下の能力は、

  • Communication (コミュニケーション能力の高さ)
  • Diligence (勤勉さ)
  • Flexible Vision (柔軟な視野)

の3つです。これは、実際に私が転職する際に強くアピールしてきたポイントです。普通じゃん、とか言わないで下さいね。普通のことでもきちんと表現しなければ相手には伝わりません。

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