アメリカの就職事情から学ぶ外資系企業への転職術--エリック松永の英語道場(42) - (page 3)

エリック松永

2010-02-05 08:00

 Flexible Visionは、考え方はもちろんのこと、実際に仕事をする時もFlexibleに対応できる面をアピールしています。例えば、「自分の仕事はこれなので他はやりません」というのではなく、日本人のお人好しイメージを生かして、自分の担当分野以外の仕事も柔軟に対応する気持ちがあることを伝え、さらに複数の仕事が同時にこなせるスキルもあるとアピールします。

楽観的であれ

 私の場合、先ほどのアピールポイントに加え、Optimistic(楽観主義)であることも伝えます。プレッシャーに強いという意味なのですが、どんな状況下でも任務を遂行する強い意思を、少し外したこのような表現でアピールしています。

 厚生労働省・文部科学省によると、2010年卒業予定の大学生の就職内定率(2009年12月1日現在)は73.1%。この数字をマスコミではこの世の終わりのようにネガティブにとらえて報道し、学生も真っ青な顔で必死になっています。しかし、アメリカはどうでしょう。最近、2010年に卒業予定のアメリカ人学生と話をしましたが、「こんな時期だから焦っても仕方ないかな」とのんびりムード。「心配じゃないの?」と聞いてみると、「心配してGoldman Sachsがオファーをくれるなら心配するけどね」とウインクされてしまいました。この楽観度は、マスコミの報道や噂に妙に神経質な日本人も見習っていいと思います。

積極性と謙虚さを兼ね備えよ

 また、Aggressiveness(積極性)は、どうしてもアメリカ人に最低条件として示さなければならない点です。しかし、ここで同時に日本人ならではのHumility(謙虚さ)も見せ、一緒に働きたい仲間だと思わせるのがポイントです。やるべきことはやるが、妙に成果ばかりを主張しないヒーロー的な役割ですね。

 これはアメリカ人と働いて感じたことなのですが、あれほどガツガツしていてAggressiveなアメリカ人たちも、実はそういう人たちのことをあまり好んでいないようなのです。そこで、日本人がHumilityを持つというイメージを利用しようと考えたわけです。具体的にどうやってHumilityを表現するのかは、面接の項目で後日詳しくお話しします。

 ちなみに、私は自分ではHumilityが全身からあふれた人間だと思っているのですが、日本人スタッフからは超Aggressiveな肉食獣と言われます。なぜだろう……

 今回は、アメリカでは新卒から自分の能力を認識しなければ就職できない環境にあること、そして自分の能力をどうアピールするかが重要であることをお話しました。次回からはいよいよ就職するまでの具体的なプロセスを通して、アメリカンな転職術を説明していきます。応募企業の選定から、応募書類の書き方、面接のポイント、内定後の社内手続きまで順番にお話しする予定ですので、乞うご期待!

Peace out,
Eric

Eric
筆者紹介

エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。著書に「クラウドコンピューティングの幻想」(技術評論社)がある。

イラストレーター: まつなが みか
つぶやく日本人や音楽にまつわる「人」のイラストを描く。CDジャケット、ショップ、雑誌等で活動中。エリック松永の愚妹。

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