前述したように、Force.comでは項目や型といった情報をメタデータとして持っており、それらの情報を別のルックアップテーブルに呼び出している。そこに表示するデータもリアルタイムに持ってくる。タブの構成、項目の並び順といった情報も含め、すべてがリアルタイムに生成される。とはいえ、どのようにすれば高速に生成できるのか。その仕組みは明かされていない。いわばそこが、同社の差別化要因のひとつでもある。
エンタープライズアプリの「ロングテール」
Force.comではJavaもPythonも.NETも動かない。そのため、それらの言語で開発されたアプリケーションを移行するには作り直すしかない。企業はForce.comのメリットを得るために、アプリケーションをForce.comに移すべきだろうか。
これについて内田氏は「すべての業務をForce.comに移す必要はない。Amazon、Google、Azure、Salesforceには、それぞれに得意不得意があるため、いいとこ取りをお勧めする」と話す。
「例えば、メールはGoogle、CRMはSalesforce、.NETはAzure、JavaはAmazonといった、各クラウドのメリットを生かす使い方をしていけばいい」と内田氏。セールスフォースは、もともとオンプレミスで失敗したアプリケーション(CRMやSFA等)をクラウド化して成功した。「エンタープライズアプリケーションの世界におけるロングテール理論。ベストセラーを無理してクラウドにする必要はない」という。
最後に、コールセンター系システムのバージョンアップ版である「Service Cloud 2」の特徴について聞いた。
内田氏によれば、「1つはSNSとの連携だ」という。クラウドサービスは、コンシューマー系のSNS(例えばTwitterやFacebook、mixiなど)と基本的にシームレスに連携できる。
「コールセンターは顧客を待っているのでは遅い。顧客のつぶやきをリアルタイムにキャッチして、いち早くフォローする。あるいはコミュニティの意見をいち早く自社のソリューションに取り込む。そうした連携の仕組みを提供する」と説明する。
Service Cloud 2では、CRMクラウドサービスがSNSとリアルタイムに連携するようになる。これも企業にとってリアルタイムの新しい価値の1つと言えそうだ。